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雪山でバックカントリースキーをする人のイメージ。背景に雪崩の痕跡がある厳しい環境。

導入

バックカントリーや雪山登山を始めると、必ず耳にするのが「雪崩装備」という言葉。ビーコン、プローブ、ショベル——いわゆる「三種の神器」を揃えなければいけないのは分かっているけれど、調べれば調べるほど種類が多くて何を選べばいいのか分からない…。

特にビーコンは5万円から7万円以上するものまであって、「本当にこんなに高いのが必要?」「安いのじゃダメなの?」と悩んでしまいますよね。

この記事では、スイスの老舗ブランド「マムート(MAMMUT)」の雪崩装備に焦点を当て、2024年にフルモデルチェンジした新型ビーコン「Barryvox S2」「Barryvox 2」をはじめ、ショベル「Alugator」シリーズ、プローブ「Speed Lock」シリーズの特徴と選び方を、登山ガイドの先生と初心者のJKの会話形式で分かりやすく解説していきます。


登場人物紹介

JK
登山初心者。見た目重視で「形から入る」タイプ。専門用語が苦手で、素朴な疑問や不満を遠慮なく口にする。
先生
登山歴20年のベテランガイド。安全性と機能性を重視し、道具への愛と知識が深い。質実剛健な性格で、デメリットも隠さず伝える誠実さがある。

なぜ雪崩装備が必要なのか?

JK
先生、雪山に行くなら「ビーコン」とか「プローブ」とか持っていけって言われるんですけど、正直なところ、本当に必要なんですか? 雪崩なんてそうそう起きないですよね?
先生
いい質問だ。確かに雪崩に遭遇する確率自体は低いかもしれない。しかし、万が一埋まった場合、時間との勝負になる。
JK
時間との勝負って、どのくらいの話ですか?
先生
統計データがある。埋没から15分以内に救出されれば生存率は約92〜93%だ。しかし、35分を過ぎると生存率は34%にまで急落する。

参考情報: 「埋没から15分以内に救出された場合の生存率は約92%と非常に高い数値を示しています」

出典https://www.sangakui.jp/

JK
え、35分で34%!? それってほぼ3分の1しか助からないってことじゃないですか!
先生
その通りだ。主な死因は窒息で、全体の70〜80%を占める。雪崩で埋まると、口や鼻の周りの雪が呼気で溶けて再凍結し、氷の壁ができてしまう。呼吸ができなくなるんだ。
JK
こわっ…。じゃあヘリコプターとか救助隊を待ってたら間に合わないってことですか?
先生
そうだ。だからこそ「コンパニオンレスキュー」——つまり一緒にいた仲間による救助が最も重要になる。そのための道具がビーコン、プローブ、ショベルの「三種の神器」だ。

三種の神器って何をするもの?

JK
ビーコンとかプローブとか、名前は聞いたことあるんですけど、実際に何をするものなのかイマイチ分かってなくて…。
先生
では簡単に説明しよう。

ビーコン(アバランチトランシーバー)

先生
ビーコンは電波を発信・受信する無線機だ。普段は「送信モード」で自分の位置を知らせる電波を出し続ける。仲間が埋まったら「受信モード」に切り替えて、埋没者が発信している電波を頼りに位置を探す。
JK
ケータイのGPSみたいなものですか?
先生
似て非なるものだな。GPSは人工衛星との通信が必要だが、ビーコンは457kHzという周波数の電波を使って直接やり取りする。だから雪の中に埋まっていても電波が届く。

プローブ(ゾンデ)

先生
ビーコンで大まかな位置を特定したら、次はプローブを使う。これは折りたたみ式の棒で、雪に突き刺して埋没者の正確な位置と深さを特定するものだ。
JK
なんでビーコンだけじゃダメなんですか?
先生
ビーコンは「この辺り」という位置は分かるが、雪の深さまでは正確に分からない。間違った場所を掘ると時間のロスになる。プローブで「ここだ!」と確定させてから掘り始めるんだ。

ショベル(スノーショベル)

先生
最後に埋没者を掘り出すのがショベルだ。素手で雪を掘るのは現実的ではない。雪崩で固まった雪は想像以上に硬く、効率的な掘り出しには専用のショベルが必要だ。
JK
なるほど…。ビーコンで探して、プローブで確認して、ショベルで掘り出す。この3つがセットってことですね。
先生
その通り。どれか一つでも欠けていると救助ができない。だから「三種の神器」と呼ばれている。

マムートの雪崩装備の特徴

JK
で、今回はマムートの雪崩装備を見ていくんですよね。マムートってどんなブランドなんですか?
先生
マムートは1862年にスイスで創業した老舗ブランドだ。もともとロープメーカーとしてスタートしていて、クライミングギアやアルパイン装備には特に定評がある。
JK
1862年って…明治維新より前じゃないですか!
先生
ふむ、160年以上の歴史があるわけだな。そして雪崩ビーコンの「Barryvox」シリーズは45年以上の歴史を持つ。多くの山岳ガイドやプロが使用しているブランドだ。

参考情報: 「Mammut Barryvoxは長年の実績があり、多くのユーザーがその信頼性を評価しています」

出典https://note.com/

JK
へぇ〜。でも正直、歴史とか実績とか言われても、私にはピンとこないんですよね…。
先生
正直でいい。では具体的に何が優れているのか、製品ごとに見ていこう。

ビーコン「Barryvox」シリーズ徹底解説

Image Prompt: 雪山でマムートのバリーボックスS2を手に持つスキーヤー。青空と白い雪原を背景に、ビーコンの液晶画面が光っている。

2024年フルモデルチェンジ!新型Barryvoxの進化

先生
2024年11月22日、マムートのビーコンが7年ぶりにフルモデルチェンジした。新しく登場したのが「Barryvox S2」と「Barryvox 2」の2モデルだ。
JK
7年ぶりって、けっこう久しぶりですね。何がそんなに変わったんですか?
先生
大きく変わった点は3つある。まず、薄型・軽量化。従来品と比較して22%薄く、14%軽くなった。

参考情報: 「新モデルは従来品と比較して22%薄く、14%軽くなり、着用時のストレスを軽減」

出典https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000084.000032446.html

JK
22%薄くなるってけっこうすごくないですか? 実際に持ってみると違い分かります?
先生
分かるな。厚さが21mmになって、ウェアの下に装着しても違和感が少なくなった。重さも180gで、単4電池2本で動く。
JK
単4電池!? 充電式じゃないんですね。
先生
そこは賛否両論あるところだな。乾電池式のメリットは、予備電池を持っていけば長期間使えること。デメリットは液漏れのリスクがある。長期保管する時は電池を抜いておく必要がある。

Barryvox S2(上位モデル)

先生
上位モデルの「Barryvox S2」は、初心者からプロフェッショナルまで対応する万能モデルだ。価格は71,500円(税込)。
JK
7万円超え!? ビーコンってそんなにするんですか!?
先生
高いと感じるのは当然だ。しかし、命を守る装備だと考えると、この価格をどう捉えるかだな。

主なスペック

  • 価格: 71,500円(税込)
  • サイズ: 115×68×21mm
  • 重量: 180g
  • 電池: 単4形アルカリ電池2本(リチウム電池も使用可能)
  • 送信持続時間: アルカリ電池で最大450時間、リチウム電池で最大550時間
  • 捜索範囲: 最大70m
  • アンテナ: デジタル3アンテナ
JK
捜索範囲70mって、どのくらいすごいんですか?
先生
業界トップクラスだ。捜索範囲が広いほど、埋没者を早く見つけ出せる可能性が高まる。他社製品だと50〜60mのものもあるから、70mは大きなアドバンテージだ。

S2だけの特別機能

先生
Barryvox S2には、下位モデルにはない機能がいくつかある。

1. 音声ガイダンス(ボイスガイダンス)

先生
これが今回の目玉機能だ。捜索時に「早く動いてください」「膝の高さにデバイスを合わせてください」といった具体的な音声指示が流れる。

参考情報: 「何をすべきかを具体的に指示する音声ガイダンスが追加されました。これにより、特に初心者でも直感的な捜索が可能になります」

出典https://steep.jp/news/mammut-barryvox-s2-2/

JK
えっ、ビーコンがしゃべるんですか!? それは初心者にはありがたいかも…。
先生
パニック状態でも、何をすべきか音声で教えてくれるのは心強い。ただし、この機能はアプリから設定する必要がある。
JK
アプリ?
先生
そう、これも新機能だ。

2. 専用アプリ連携(Bluetooth対応)

先生
スマートフォンの専用アプリと連携できるようになった。設定変更、トレーニング、ファームウェアのアップデートがスマホから可能だ。
JK
ファームウェアって何ですか?
先生
ビーコン内部のソフトウェアのことだ。今までアップデートするには店舗に持ち込む必要があったが、これからは自宅でできる。買った後も機能が向上していく可能性があるということだな。

3. MIP液晶ディスプレイ(2.3インチ)

先生
Memory-in-Pixel技術を採用した液晶だ。直射日光下でも見やすく、サングラスやゴーグル越しでも視認性が高い。しかも消費電力が低い。
JK
確かに雪山って日差しがすごいですもんね。画面が見えないと困りますよね。

4. 多重埋没者捜索(最大16名)

先生
複数の人が同時に埋まった場合、最大16名まで対応できる。見つけた人の信号をマーキングして、次の人を探すという作業がスムーズにできる。
JK
16人も同時に埋まることってあるんですか…?
先生
大規模な雪崩ではありえる。スキー場のコース外に10人以上のグループがいて、全員巻き込まれるケースもゼロではない。そういう極限状況でも対応できるのがプロ向けモデルの強みだ。

こんな人におすすめ

  • 初心者から上級者まで幅広く対応する万能モデルが欲しい人
  • 直感的な操作性や音声ガイダンスを求める人
  • 複雑な救助状況に対応する必要がある山岳ガイドやプロ
  • 将来的なアップデートを期待する人

注意点

  • 価格が71,500円と高額
  • 機能が多すぎて初心者には使いこなせない可能性も
  • 2024年11月にリコールが発表された(電源・送信・捜索スイッチの製造上の問題)

参考情報: 「2024年11月8日には、電源・送信・捜索スイッチの製造上の問題により、Barryvox 2およびBarryvox S2のリコールが発表されており、対象製品は点検・修理のためマムートに返送する必要があります」

出典https://beaconreviews.com/

JK
えっ、リコール!? 買ったばかりなのに故障するってことですか?
先生
製造上の問題で一部製品に不具合があったようだ。ただ、メーカーが迅速に対応しているし、リコール対象かどうかは購入時に確認すれば問題ない。むしろ、問題を隠さずリコールするメーカーの姿勢は信頼できると私は思う。

Barryvox 2(スタンダードモデル)

先生
もう一つのモデルが「Barryvox 2」。こちらはスタンダードモデルで、価格は57,200円(税込)だ。
JK
1万4千円も安いんですね! 何が違うんですか?

Barryvox S2との違い

項目 Barryvox S2 Barryvox 2
価格 71,500円 57,200円
ディスプレイ MIP液晶2.3インチ 標準液晶
音声ガイダンス あり なし
アニメーション表示 あり なし
リチウム電池対応 あり アルカリのみ推奨
多重埋没者捜索 最大16名・高度なマーキング 基本対応
カスタマイズ機能 充実 基本

参考情報: 「Barryvox 2の価格は57,200円(税込)です」

出典https://prtimes.jp/

先生
基本的な性能——サイズ、重量、捜索範囲、アプリ連携——はS2と同じだ。違いは主に「捜索をサポートする機能」の部分だな。
JK
音声ガイダンスがないのは、初心者にはちょっと不安かも…。でも1万円以上安いのは魅力ですよね。
先生
そこはまさにトレードオフだ。基本的な性能さえあれば十分という人や、ガイド付きツアーに参加することが多い人にはBarryvox 2で十分だと思う。

こんな人におすすめ

  • 基本的な雪崩対策知識があるユーザー
  • 主にガイド付きツアーに参加する人
  • コストパフォーマンスを重視する人
  • シンプルな操作性を求める人

注意点

  • 音声ガイダンスがないため、操作に慣れが必要
  • MIP液晶ではないため、視認性がやや劣る
  • リチウム電池は非推奨

他社ビーコンとの比較

JK
マムート以外にもビーコンを出してるメーカーってあるんですか?
先生
もちろん。主要なブランドを比較してみよう。
ブランド モデル 捜索範囲 特徴 価格帯
Mammut Barryvox S2 70m 音声ガイダンス、MIP液晶、アプリ連携 71,500円
Mammut Barryvox 2 70m シンプル操作、コスパ良好 57,200円
Ortovox Diract Voice 50m 音声ガイド、充電式 約60,000円
Pieps Pro BT 60m Xアンテナ、Bluetooth対応 約55,000円
BCA Tracker S 55m シンプル操作、手頃な価格 約35,000円
BCA Tracker 4 55m 直感的操作、高速プロセッサ 約45,000円

参考情報: 「特にBarryvox S2は、プロフェッショナルや上級者向けに高い評価を得ており、70mの広範囲な捜索能力と優れたディスプレイが特徴」

出典https://switchbacktravel.com/

JK
BCAのTracker Sは35,000円!? マムートの半額じゃないですか!
先生
価格差はあるな。BCAは操作がシンプルで初心者に人気だ。ただし、捜索範囲は55mとやや狭い。
JK
捜索範囲が狭いと、何がダメなんですか?
先生
埋没者を見つけるまでに時間がかかる可能性がある。70mの範囲で電波をキャッチできるビーコンと、55mのビーコンでは、最初に信号を捉えるまでの時間が違ってくる。さっき話した「15分以内の救出」を考えると、この差は大きい。
JK
なるほど…。安さだけで選ぶと、いざという時に後悔するかもってことですね。
先生
そういうことだ。ただ、どのビーコンを選んでも、練習していなければ意味がない。高いビーコンを買って満足せず、しっかりトレーニングすることが最も重要だ。

プローブ「Probe Speed Lock」シリーズ

Image Prompt: 雪面にプローブを突き刺している登山者の手元アップ。マムートのProbe Speed Lockのオレンジ色の目盛りが見えている。

JK
次はプローブですね。これって要するに長い棒ですよね? そんなに選び方にこだわる必要あります?
先生
いい質問だ。確かに「棒」ではあるが、緊急時に素早く組み立てられるか、十分な長さがあるか、雪に刺さりやすいかなど、性能差は確実にある。

Speed Lockシステムとは

先生
マムートのプローブは「Speed Lock」というテンショニングシステムを採用している。

参考情報: 「緊急時に素早く組み立てできるよう設計されており、カチッという音でロックを確認できます」

出典https://mammut.com/

JK
カチッという音?
先生
そう。グローブをしたままでも、セクションを繋げてカチッと音がすれば正しくロックされたことが分かる。暗闘や吹雪の中でも、音で確認できるのは大きい。

シリーズ共通の特徴

  • アルミニウム製: 耐久性と軽さを両立
  • ドロップ形状の先端: 硬い雪塊にも効率的に貫通
  • 360度深度表示: 埋没者の深さを正確に測定
  • 底部オレンジ色: 埋没者に近づくと視覚的に分かる
  • UIAA 157規格認定: 国際基準をクリア

Probe Speed Lock 240(軽量モデル)

主なスペック

  • 展開長: 240cm
  • 収納長: 45cm
  • 重量: 約245〜280g
  • セクション数: 6本
  • 価格: 約6,600円
JK
240cmって、私の身長より全然長い!
先生
雪崩で埋まると1m以上の深さになることも珍しくない。2m以上の長さは最低限必要だ。

こんな人におすすめ

  • 軽量化を最優先するスキーヤー
  • 日帰りバックカントリー中心の人
  • 小さなバックパックを使用する人

Probe Speed Lock 280(オールラウンドモデル)

主なスペック

  • 展開長: 280cm
  • 収納長: 45cm
  • 重量: 約279g
  • セクション数: 7本
  • 価格: 約7,700円

参考情報: 「最低でも2m以上の長さが推奨され、雪深いエリアや新雪が多い時期を考慮すると、270cm〜280cm程度の長さがより効果的」

出典https://steep.jp/

先生
多くのガイドが推奨するのが280cmクラスだ。新雪が多いエリアでも十分な長さがあり、かつ重すぎない。
JK
迷ったらこれを選べば間違いないってことですか?
先生
その通りだ。

こんな人におすすめ

  • オールラウンドに使いたい人
  • 一般的なバックカントリーを楽しむ人
  • 迷ったらこれを選べという定番モデル

Probe Speed Lock 320(本格派モデル)

主なスペック

  • 展開長: 320cm
  • 収納長: 45cm
  • 重量: 約340〜365g
  • セクション数: 8本
  • 価格: 約8,800円
先生
最も長いモデルだ。新雪が深いエリアや、大規模な雪崩が想定されるルートを行く人向け。
JK
3m超えって、かなり長いですね…。
先生
長いほど重くなるし、収納スペースも取る。ただ、いざという時に「プローブが短くて届かない」というのは最悪の事態だ。自分がどんなエリアを滑るかで判断するといい。

こんな人におすすめ

  • 新雪が多いエリアを好む人
  • 深い埋没が想定されるルートを行く人
  • 山岳ガイドやプロフェッショナル

ショベル「Alugator」シリーズ

Image Prompt: 雪山でAlugator Pro Light Hoeのホーモードを使って雪を掘り出している登山者。ショベルのDグリップとオレンジ色のブレードが目立つ。

JK
次はショベルですね。これって普通のスコップと何が違うんですか? ホームセンターで買えばよくないですか?
先生
ははは、それはあまりおすすめしないな。雪崩救助用のショベルには、普通のスコップにはない特徴がいくつかある。

なぜ専用ショベルが必要か

  1. 軽量性: バックパックに入れて持ち歩くから軽くないと困る
  2. コンパクト性: 分解・折りたたみができて収納しやすい
  3. 強度: 雪崩で固まった雪は非常に硬い。曲がらない素材が必要
  4. 効率性: 素早く大量の雪を動かせる設計
  5. UIAA規格: 国際基準をクリアした信頼性
JK
なるほど…。そういえば雪崩で固まった雪ってどのくらい硬いんですか?
先生
想像以上に硬い。雪崩が起きると、雪は圧縮されて氷に近い状態になる。普通の園芸用スコップでは歯が立たないし、曲がってしまう可能性もある。

Alugator Pro Light Hoe(最上位モデル)

先生
マムートのショベルで最もおすすめなのがこれ。「Alugator Pro Light Hoe」だ。

参考情報: 「シャフトを付け替えることで90°のホーモードに簡単に変換でき、より効率的かつ迅速な雪の除去が可能」

出典https://rei.com/

JK
ホーモード? 何ですかそれ?
先生
「Hoe」は鍬(くわ)という意味だ。シャフトの角度を90度に変えることで、鍬のように雪を引っ掻き出せる。
JK
えっ、ショベルって押す動きが普通じゃないですか?
先生
実は、押すより引く方が人間の体の構造的に力が入りやすいんだ。特に長時間掘り続ける場合、ホーモードの方が効率がいい。

主なスペック

  • 重量: 約675g
  • 収納長: 68cm
  • 展開長: 90〜91cm
  • ブレード長: 27.5cm
  • ブレード幅: 24cm
  • 素材: 硬化・陽極酸化アルミニウム
  • 認定: UIAA 156規格
  • 価格: 約16,500円

主な特徴

1. ホーモード(鍬機能) シャフトを90度に付け替えて、てこの原理で効率的に雪を引き出せる。

2. 人間工学に基づいたDグリップ 安定したホールド感と効率的なパワー伝達。グローブ着用時も操作しやすい。

3. 耐久性のあるブレード 硬化・陽極酸化処理アルミニウムで曲がりにくく、雪塊を効率的にカット。

4. 多用途設計 アタッチメントホール付きで、スノーアンカーやレスキューソリの構築にも対応。

こんな人におすすめ

  • 効率的な掘り出しを求める人
  • 本格的なバックカントリーを楽しむ人
  • 山岳ガイドやプロフェッショナル

注意点

  • 価格が約16,500円とショベルとしては高め
  • 重量675gはやや重い

Alugator Light(軽量モデル)

先生
もう少し軽量なモデルがほしい人には「Alugator Light」がある。

参考情報: 「475gと非常に軽量で、小さなコーラ飲料よりも軽い」

出典https://rei.com/

JK
475g!? コーラより軽いんですか!

主なスペック

  • 重量: 475g
  • 収納長: 37cm
  • 展開長: 約75cm
  • ブレード幅: 約21cm
  • ブレード長: 約24cm
  • 素材: 硬化・陽極酸化アルミニウム
  • 認定: UIAA 156規格
  • 価格: 13,200円(税込)、実売9,800〜11,800円程度

Pro Light Hoeとの比較

項目 Pro Light Hoe Light
重量 675g 475g
ホーモード あり なし
グリップ Dグリップ Tグリップ
展開長 90cm 75cm
ブレードサイズ 27.5×24cm 24×21cm
価格 約16,500円 約13,200円
JK
200g軽くて、3,000円くらい安いんですね。ホーモードがないってそんなに困ります?
先生
困らない人も多い。日帰りでライトに楽しむ人なら、Alugator Lightで十分だ。ただ、長時間の掘り出しが必要な状況では、ホーモードの有無は効率に大きく影響する。

こんな人におすすめ

  • 軽量化を最優先するスキーヤー
  • 小さなバックパックを使用する人
  • 日帰りバックカントリー中心の人
  • 予算を抑えたい人

注意点

  • ホーモードがないため、長時間の掘り出しでは効率が落ちる
  • ブレードがやや小さい

エアバッグシステム

JK
先生、雪崩エアバッグっていうのも聞いたことあるんですけど、あれは何なんですか?
先生
雪崩に巻き込まれた時に、バックパックから大きな風船を膨らませて、体が雪の表面に浮きやすくするシステムだ。
JK
風船で浮く? そんなことできるんですか?
先生
ブラジルナッツ効果という現象を利用している。混ざったものの中では、大きいものが上に来やすい。150リットルのエアバッグを展開することで、体が雪面に浮き上がりやすくなる。

Removable Airbag System 3.0

マムートの取り外し可能なエアバッグシステム。対応バックパックに装着可能。

参考情報: 「数秒で頭部後方に150リットルの明るい色のエアバッグを展開し、埋没リスクを低減」

出典https://mammut.com/

主な特徴

  • 150リットルエアバッグ: 頭部後方に明るい色のエアバッグを数秒で展開
  • 取り外し・付け替え可能: 対応バックパック間で移動可能
  • 軽量設計: エアバッグシステム+カーボンカートリッジで約1kg
JK
1kgも増えるんですか…。
先生
命を守る装備としては許容範囲だと思うが、確かに重い。価格も10万円を超えるモデルが多い。三種の神器を揃えた上で、さらに安全性を高めたい人向けだな。
JK
なるほど。まずは三種の神器を揃えて、それでも足りないと思ったら検討する感じですね。
先生
その考え方でいい。

ビーコントレーニングの重要性

JK
ところで先生、ビーコンって買っただけじゃダメなんですか?
先生
買っただけでは全く意味がない。使い方を練習しておかないと、いざという時にパニックになって何もできない。

参考情報: 「日本雪崩捜索救助協議会(AvSAR)は『入門者のための雪崩ビーコン練習ドリル』を公開しており、初心者でも仲間と一緒に練習できる方法が整理されています」

出典https://avsarjapan.org/

JK
どうやって練習するんですか?
先生
段階を踏んで練習するのがいい。

練習ステップ

ステップ1: 基本操作の確認

  • 取扱説明書を読む
  • 電源のオン/オフ、送受信の切り替えを練習
  • ディスプレイの表示を理解する

ステップ2: 受信距離の体験

  • 広場でビーコンがどのくらいの距離から電波を捉えるか確認
  • 「ファジーゾーン」(電波が安定しない範囲)を把握

ステップ3: コースサーチ・ファインサーチの練習

  • 繰り返し行うことで基礎スキル向上
  • プローブによる位置特定もスムーズに

ステップ4: 雪上での実地練習

  • ビーコンを十分な深さに埋める
  • コースサーチ〜プロービングまでの一連の動作を練習
JK
Barryvox S2にはアプリでトレーニングできる機能があるって言ってましたよね?
先生
そうだ。自宅でも基本操作を練習できるのはありがたい。ただ、実際の雪上での練習に勝るものはない。講習会に参加することを強くおすすめする。

おすすめの組み合わせ

JK
結局、私は何を買えばいいんですか?
先生
使用シーンと予算によって変わってくる。いくつかパターンを提案しよう。

初心者・ライトユーザー向け

アイテム おすすめモデル 価格
ビーコン Barryvox 2 57,200円
プローブ Probe Speed Lock 240 約6,600円
ショベル Alugator Light 約13,200円
合計 約77,000円
JK
7万7千円…。高いですね…。
先生
命を守る装備だからな。ただ、一度買えば何年も使えるものだ。

中級者・オールラウンド向け

アイテム おすすめモデル 価格
ビーコン Barryvox S2 71,500円
プローブ Probe Speed Lock 280 約7,700円
ショベル Alugator Light 約13,200円
合計 約92,400円

上級者・プロフェッショナル向け

アイテム おすすめモデル 価格
ビーコン Barryvox S2 71,500円
プローブ Probe Speed Lock 320 約8,800円
ショベル Alugator Pro Light Hoe 約16,500円
合計 約96,800円

まとめ・比較表

JK
今日の話をまとめると、どんな感じですか?
先生
マムートの雪崩装備は、45年以上の歴史と実績がある信頼性の高いブランドだ。2024年に発売された新型Barryvoxは、音声ガイダンスやアプリ連携など最新技術が搭載されている。

マムート雪崩装備 比較表

カテゴリ モデル 特徴 おすすめユーザー 価格
ビーコン Barryvox S2 音声ガイダンス、MIP液晶、最大16名対応 初心者〜プロ 71,500円
ビーコン Barryvox 2 シンプル操作、コスパ良好 一般ユーザー 57,200円
プローブ Speed Lock 240 軽量、6セクション 軽量化重視 約6,600円
プローブ Speed Lock 280 オールラウンド、定番 迷ったらコレ 約7,700円
プローブ Speed Lock 320 最長、深い埋没に対応 本格派 約8,800円
ショベル Alugator Pro Light Hoe ホーモード搭載、効率的 効率重視 約16,500円
ショベル Alugator Light 超軽量475g 軽量化重視 約13,200円
JK
なるほど〜。私は日帰りバックカントリーから始めようと思ってるので、Barryvox 2とProbe Speed Lock 280とAlugator Lightの組み合わせかな…。
先生
いい選択だ。あとは必ず練習すること。ビーコンは持っているだけでは意味がない。
JK
はい、分かりました! 講習会も探してみます!
先生
最後に一つ。雪崩装備は命を守るものだが、最も重要なのは「雪崩に遭わないこと」だ。地形、雪質、気象を学び、危険を避ける判断力を身につけることが一番大切だ。
JK
装備があるからって無茶しちゃダメってことですね。
先生
その通り。山を楽しむためにも、安全第一で行こう。

購入時のチェックリスト

最後に、雪崩装備を購入する際のチェックリストをまとめておこう。

  • [ ] 自分の使用シーン(日帰り/宿泊、頻度)を明確にする
  • [ ] 予算の設定(三種の神器で7〜10万円程度)
  • [ ] セット購入と単品購入の比較検討
  • [ ] リコール情報の確認(Barryvox S2/2は2024年11月にリコールあり)
  • [ ] 練習環境の確保(講習会への参加も検討)
  • [ ] 仲間とビーコンの互換性確認(457kHzなら問題なし)
  • [ ] 取扱説明書を読み、基本操作を習得

安全な雪山ライフを楽しもう!