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導入
先生、ストックって年寄りが使う杖ですよね? 若い私が使ったら恥ずかしくないですか? 手も塞がるし邪魔そう…。
その認識は完全に間違っている。
ストックは「四足歩行」になるための加速装置だ。
腕の力を推進力に変え、下りではブレーキとして膝を守る。
正しく使えば、「足の疲労を30%軽減できる」というデータもある。
特に重い荷物を背負った時や、長距離の縦走では、若者だろうがアスリートだろうが必須のギアだ。
今日は、カーボンとアルミの違いや、正しい長さ調整について解説する。
Image Prompt: 四足歩行の動物(カモシカなど)と、ストックを使って歩く登山者のシルエットを重ねたイメージ。腕が「前足」として機能している様子を強調。
第1章: なぜ「楽」になるのか
1. 登りの推進力
ストックを後ろに突いて、腕で体を押し上げる。
手すりを持って階段を登るのと同じ原理だ。
太ももの筋肉だけで登るよりも、上半身の筋肉も動員できるので、全身の疲労が分散される。
2. 下りの膝への衝撃緩和
これが一番のメリットだ。
足を着地させる前に、ストックを前に突いて体重を預ける。
膝にかかる衝撃の一部を腕で受け止めることができる。
長時間の下りで膝が笑うのを防げる。
3. バランス保持
渡渉(川渡り)や、不安定な岩場、泥道などで、3点支持、4点支持ができる。
転倒リスクを劇的に減らせる。
第2章: 素材の選び方(カーボン vs アルミ)
1. カーボン(軽量)
非常に軽い。振った時のスイングバランスが良いので、腕が疲れない。
ただし、「折れやすい」。
岩の隙間に挟まってテコの力が加わると、パキッと折れることがある。
扱いが丁寧な人向けだ。
2. アルミ(頑丈)
カーボンより重いが、曲がるだけで折れにくい。
曲がってもある程度は直せる。
岩場でガシガシ使いたい人や、体重を預けるのが怖い初心者はアルミが無難だ。
安いのも魅力だ。
第3章: 収納方式(折りたたみ vs 伸縮)
1. 折りたたみ式(Zポール)
ブラックダイヤモンドなどが有名。
三つ折りにできるので、非常にコンパクトになる。
ザックの中に収納できるので、電車移動の時に邪魔にならない。
最近の主流だ。
2. 伸縮式(テレスコーピング)
望遠鏡のように伸び縮みする。
長さの微調整がしやすい。
構造がシンプルで壊れにくいが、縮めても長いので、ザックの外付けになることが多い。
第4章: 正しい長さと突き方
1. 基本は「肘が90度」
平地で持った時に、肘が直角になる長さが基準だ。
登りでは少し短く、下りでは少し長くすると使いやすい。
グリップの下の方を持てる(エクステンショングリップ)モデルなら、いちいち長さを変えずに握る位置で調整できる。
2. 手を通すストラップ
ストラップ(紐)に下から手を通して、グリップと一緒に握り込む。
こうすることで、握力を使わずに、手首で荷重を支えられる。
長時間使っても手が疲れないコツだ。
結論: 全身を使って歩く快感
まとめよう。トレッキングポールの実用性は以下の通りだ。
- 疲労分散: 足の負担を腕に逃がし、スタミナを温存する。
- 膝保護: 下りの衝撃を和らげ、痛みを防ぐ。
- 安全性: 4点支持で転倒を防ぐ。
最初は手足が一緒に出たりしてぎこちないかもしれないが、慣れればリズムよく歩けるようになる。
「道具を使うことで、人間はもっと遠くへ行ける」。
ストックはそれを体感できる最高のギアだ。
まずは安価なアルミ製から試してみるといいだろう。
免責事項
※本記事の情報は執筆時点のものです。メーカーの仕様変更などにより、製品名やスペックが変わる場合があります。購入の際は公式サイトや店頭で最新情報をご確認ください。