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「テント泊デビューしたいけど、マットって何を選べばいいの?」 「銀色のパタパタ折りたたむマット、よく見るけどあれってどうなの?」

登山用品店に行くと、必ずと言っていいほど見かけるアコーディオンのようなマット。それがサーマレスト (Therm-a-Rest) の「Zライトソル」です。

ベテラン登山者から初心者まで、なぜこれほど多くの人に愛されているのでしょうか?「ただのスポンジでしょ?」と思ったら大間違い。そこには、山での快適な睡眠を支える驚きのテクノロジーと、実用性を極めた工夫が詰まっています。

この記事では、登山ガイドの先生と登山初心者のJKが、サーマレストのマットについて徹底解説。「Zライトソル」の魅力はもちろん、エアーマットとの違いや選び方まで、失敗しないマット選びの極意をお伝えします。

Image Prompt: A photorealistic image of a Therm-a-Rest Z Lite Sol sleeping pad spread out on a rocky alpine terrain with a tent in the background. The silver reflective surface of the pad should be gleaming in the sunlight. A hiker's backpack and boots are nearby, suggesting a break or camp setup. The scene should convey rugged durability and outdoor adventure.


登場人物紹介

JK (女子高生)
登山初心者。形から入るタイプ。「マットなんて何でも良くない?」と思っているが、実は地面の硬さや冷たさに敏感。パタパタ畳む動作がちょっと楽しそうだと思っている。

先生 (登山ガイド)
登山歴20年のベテラン。道具選びにはうるさい。「睡眠の質は登山の質」が持論。サーマレストを長年愛用しており、その信頼性を熟知している。


なぜ「マット」が必要なのか?

JK
先生、寝袋があればマットなんていらなくないですか?リュックの背中とか敷けばいいし。
先生
喝!それは大きな間違いだ。寝袋だけでは、背中の寒さは防げないんだ。
JK
え、寝袋って暖かいんじゃないんですか?
先生
寝袋のダウンは、空気を含んで膨らむことで保温力を発揮する。だが、背中側のダウンは自分の体重で潰れてしまうだろう?
JK
あ、確かにペちゃんこになりますね。
先生
そうなると、地面からの冷気がダイレクトに伝わってくる。真夏でも、地面は意外と冷たい。マットがないと、背中が冷えて一睡もできないぞ。
JK
ひえぇ…それは嫌です。
先生
マットの役割は2つ。「断熱」「クッション性」だ。地面の冷気を遮断し、凸凹を吸収して体を守る。寝袋と同じくらい、いや、それ以上に重要なアイテムなんだ。

サーマレストの代名詞「Zライトソル」

先生
そこで紹介したいのが、サーマレストの「Zライトソル (Z Lite Sol)」だ。登山者の間では「銀マット」の進化版として親しまれている。
JK
あ、これ見たことあります!パタパタ折りたたむやつですよね。なんか卵パックみたい。
先生
そう、その「卵パック」のような凸凹が重要なんだ。この形状によって、凹んだ部分に空気を溜め込み、断熱性を高めている。
JK
へぇ〜、ただのデザインじゃないんですね。
先生
さらに、表面にアルミ蒸着加工(シルバーの部分)が施されている。これが体温を反射して、暖かさを逃さない。
JK
だからキラキラしてるんですね!
先生
実際に使ってみるとわかるが、広げた瞬間にほんのり暖かさを感じるほどだ。

Image Prompt: A close-up photorealistic image showing the texture of the Therm-a-Rest Z Lite Sol pad. The focus should be on the dimpled, egg-carton pattern and the silver reflective coating. The image should show the pad partially folded, highlighting the accordion-style hinge mechanism.

なぜ「Zライトソル」が最強の定番なのか?

JK
でも先生、他にもマットっていっぱいありますよね?なんでみんなこれを使ってるんですか?
先生
理由は3つある。「耐久性」「設営の速さ」「多用途性」だ。

1. 圧倒的な耐久性(パンクしない)

先生
エアーマットは空気を入れて膨らませるが、岩や枝で穴が開くとパンクしてただの布になってしまう。だが、Zライトソルはクローズドセル(独立気泡)フォームという素材でできている。
JK
クローズドセル…?
先生
簡単に言えば、硬めのスポンジだ。だから、絶対にパンクしない。岩場だろうが砂利道だろうが、気にせずガシガシ使える。この安心感は絶大だ。

2. 設営・撤収が爆速

先生
エアーマットは膨らませるのに数分、畳むのに空気を抜いて…と手間がかかる。だが、Zライトソルはパタパタと広げるだけ。所要時間は2秒だ。
JK
2秒!疲れてるときには最高ですね。
先生
撤収もパタパタ畳むだけ。雨が降ってきても一瞬で片付けられる。

3. 座布団としても使える

先生
休憩中にちょっと座りたいとき、全部広げずに数段だけ畳んだ状態で座布団として使える。これもアコーディオン式のメリットだ。
JK
便利!岩の上とか冷たいし痛いですもんね。

Zライトソルのデメリット

JK
良いことづくめに見えますけど、ダメなところはないんですか?
先生
もちろんある。最大のデメリットは「嵩張る(かさばる)」ことだ。
JK
あー、確かにリュックの外に付けてる人よく見ます。
先生
折りたたんでも結構な大きさになるから、リュックの中に入れるとスペースを圧迫する。外付けすると、岩や枝に引っかかるリスクもある。
JK
うーん、スマートじゃないかも…。
先生
それと、クッション性はエアーマットに劣る。地面の凹凸が激しいと、背中にゴツゴツ感を感じることがある。
JK
私、布団はふかふか派なんですけど…。
先生
そういう人には、次に紹介するエアーマットの方が向いているかもしれないな。

Zライトソルを使い倒す!裏技・応用テクニック

JK
先生、Zライトソルってただ敷くだけじゃないんですか?
先生
甘いな。Zライトソルはその形状ゆえに、様々な応用が効くんだ。ベテラン登山者が実践しているテクニックを教えよう。

1. 「100均マット」との合わせ技

先生
寒い時期、Zライトソル1枚だと背中がスースーすることがある。そんな時は、100円ショップで売っている薄い銀マットを下に敷くんだ。
JK
え、100均でいいんですか?
先生
十分だ。薄いマットでも一枚あるだけで、地面からの冷気を大幅にカットできる。これだけで体感温度が2〜3℃変わるぞ。

2. 枕を作る

先生
Zライトソルはアコーディオン式だから、頭の部分だけ折り返して高くすることができる。
JK
あ!枕になるってことですね!
先生
そうだ。着替えを入れたスタッフバッグを枕にするのも良いが、マット自体で高さを調整できるのは便利だ。寝心地も安定する。

3. 「カット」して軽量化

先生
これはUL(ウルトラライト)ハイカーの常套手段だが、マットを自分の身長に合わせて切ってしまうんだ。
JK
ええっ!切っちゃうんですか!?もったいない!
先生
足元はザックを敷けばいいから、マットは肩からお尻まであれば十分、という考え方だ。14枚あるパネルを6枚〜8枚くらいに切って使う。
JK
うわぁ、勇気いりますね…。
先生
これで重量は半分以下になる。切った残りは座布団として使えば無駄がない。ただし、一度切ったら元には戻せないから、初心者は真似しないほうがいいかもしれないな。

4. フレーム代わりにザックに入れる

先生
背面にフレームが入っていない軽量なザックを使う場合、Zライトソルを筒状にして中に入れたり、背面パッドの代わりに差し込んだりすることで、ザックの剛性を出すことができる。
JK
骨組みにしちゃうんですね。
先生
パッキングも綺麗になるし、背負い心地も良くなる。一石二鳥だ。

ネオエアーシリーズ、どれを選ぶ?徹底比較

先生
さて、エアーマットに興味がある人のために、サーマレストの主力である「ネオエアー」シリーズの3大モデルを比較しよう。
JK
種類があるんですか?
先生
主に「ウーバーライト」「Xライト」「Xサーモ」の3つだ。それぞれ特徴が全く違う。

1. 軽さの極致「ウーバーライト (UberLite)」

  • 重量: 約250g
  • R値: 2.3
  • 特徴: とにかく軽い。収納サイズは缶コーヒー並み。
  • デメリット: 生地が極薄(15デニール)で、パンクしやすい。耐久性は低い。
先生
これは「荷物を極限まで軽くしたい」という変態…いや、ストイックな人向けだ。初心者が雑に扱うとすぐに穴が開く。
JK
怖くて使えません…。

2. バランスの王者「Xライト (XLite) NXT」

  • 重量: 約350g
  • R値: 4.5
  • 特徴: 軽さと暖かさのバランスが最強。3シーズンはもちろん、工夫次第で冬山もいける。
  • デメリット: ウーバーライトよりは重いが、それでも十分軽い。カサカサ音が少し気になる人もいる(NXTになって改善されたが)。
先生
迷ったらこれを買え。世界中のハイカーが愛用している大ベストセラーだ。R値4.5あれば、日本のほとんどの山で快適に眠れる。
JK
これが一番良さそうですね!

3. 極寒の守護神「Xサーモ (XTherm) NXT」

  • 重量: 約440g
  • R値: 7.3
  • 特徴: 圧倒的な断熱力。雪の上で寝ても背中が暖かい。生地も厚手(70デニール底面)で丈夫。
  • デメリット: 少し重い。夏山では暑すぎるかもしれない。
先生
厳冬期の北アルプスや北海道に行くならこれ一択だ。R値7.3は伊達じゃない。まるで床暖房の上にいるような暖かさだ。
JK
床暖房!冬山やるなら絶対これですね。

比較まとめ

モデル名 重量 R値 用途 おすすめユーザー
UberLite 250g 2.3 夏山・ULハイク とにかく軽くしたい上級者
XLite NXT 350g 4.5 3シーズン〜初冬 全ての登山者(迷ったらこれ)
XTherm NXT 440g 7.3 厳冬期・雪山 冬山登山者、寒がりな人
先生
ちなみに、これら全てに「ワイドモデル」や「ショートモデル」がある。自分の体格に合わせて選ぶといい。
JK
私は寒がりだから、冬じゃなくてもXライトがいいかも…。
先生
賢明な判断だ。「大は小を兼ねる」ではないが、「暖かさは正義」だ。数グラムの軽量化より、熟睡できる暖かさを選ぶほうが、翌日のパフォーマンスは上がるぞ。


結局、どっちを選べばいいの?

JK
先生、迷ってきました。結局、初心者はどっちを買えばいいんですか?
先生
ズバリ言おう。最初は「Zライトソル」を買え
JK
え、ふかふかじゃないのに?
先生
理由は3つ。 1. 安い(7,000〜9,000円程度。エアーマットは2〜3万円する) 2. 壊れない(初心者でも扱いを気にしなくていい) 3. 多用途(日帰り登山の座布団や、防災用品としても使える)
JK
防災用品!確かに避難所とかでも使えそうですね。
先生
その通り。まずはZライトソルで経験を積み、どうしても寝心地に不満が出たり、荷物をコンパクトにしたいと思ったら、エアーマットを買い足せばいい。
JK
なるほど。Zライトソルは無駄にならないんですね。
先生
ああ。エアーマットを買った後も、Zライトソルを切って座布団にしたり、冬山でエアーマットの下に敷いて断熱性を強化したりと、使い道はいくらでもある。

選び方のポイント:R値(R-value)を知ろう

先生
最後に、マット選びで最も重要な指標「R値 (R-value)」について教えておこう。
JK
R値?また新しい呪文ですか?
先生
これは「断熱力」を表す数値だ。数字が大きいほど、冷気を遮断する力が強い。
  • R値 1.0〜2.0: 夏用
  • R値 2.0〜3.0: 3シーズン(春・夏・秋)
  • R値 3.0〜4.0: 晩秋・初冬
  • R値 4.0以上: 厳冬期(雪山)
JK
Zライトソルはどれくらいなんですか?
先生
R値 2.0だ。つまり、3シーズン用としてはギリギリのラインだ。真冬や、寒がりの人が晩秋に使うには少し物足りないかもしれない。
JK
じゃあ、寒いときはどうすればいいんですか?
先生
重ね技だ。Zライトソルの下に薄い銀マットを敷いたり、エアーマットと重ねて使うことで、R値を足し算できる。
JK
足し算できるんですね!賢い!

まとめ:Zライトソルは「登山の相棒」

JK
先生、よくわかりました!まずはZライトソルを買って、パタパタしてみます!
先生
うむ。そのパタパタが、山での安らぎの音になるはずだ。傷だらけになっても使い続けられる、まさに「相棒」と呼ぶにふさわしい道具だぞ。
JK
傷も思い出ってことですね!なんかカッコいいかも。

比較表:あなたに合うのはどっち?

特徴 Zライトソル (クローズドセル) ネオエアー (エアーマット)
寝心地 普通 (地面の凹凸を感じる) 最高 (ふかふか)
断熱性 (R値) 2.0 (3シーズン) 2.0〜7.0 (モデルによる)
収納サイズ 大きい (嵩張る) 超コンパクト
重量 410g (レギュラー) 250g〜 (モデルによる)
耐久性 最強 (パンクしない) デリケート (パンク注意)
設営・撤収 爆速 (2秒) 手間がかかる (数分)
価格 お手頃 (約8,000円) 高価 (2〜4万円)
おすすめ 初心者、タフに使いたい人 荷物を減らしたい人、寝心地重視の人
先生
最後に。マットは「消耗品」だが、Zライトソルだけは「一生モノ」に近い耐久性を持っている。ボロボロになるまで使い倒してくれ。
JK
はい!ボロボロになるまでいろんな山に行きます!

免責事項

本記事の内容は、筆者の個人的な経験と見解に基づいています。登山用品の選択は個人の体質、登山スタイル、目的によって異なります。購入前には必ず専門店で実物を確認し、スタッフに相談することをお勧めします。また、R値や重量などのスペックはメーカーの仕様変更により変わる場合があります。最新の情報はメーカー公式サイトをご確認ください。登山は自己責任で行うアクティビティです。安全には十分配慮し、無理のない計画を立てましょう。