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日本の険しい岩稜帯(剱岳や穂高連峰)のテント場。オレンジ色の「エアライズ」が張られている。使い込まれて少し色褪せているが、ピンと張られた姿からは風格が漂う。背景には霧がかかった山肌。

導入:オレンジ色のテントは「玄人」の証?

JK
先生! 山に行くと、モンベルの黄色いテントと同じくらい、オレンジ色のテントも見かけますよね。あれってどこのブランドなんですか?
先生
ふむ。それはおそらくアライテント(ライペン)の『エアライズ』だな。モンベルと双璧をなす、日本の山岳テントの金字塔だ
JK
アライテント…? なんか渋い名前ですね(笑)。モンベルみたいに有名なんですか?
先生
登山を知らない人には馴染みがないかもしれんが、山屋(登山愛好家)で知らない者はいない。『ヒマラヤでも使える』と言われるほどの信頼性と、職人気質の作り込みが魅力だ
JK
ヒマラヤ!? すごい! でも、見た目は普通のテントですよね…?
先生
一見地味だが、使えばわかる『いぶし銀』の魅力があるんだ。今回は、なぜベテラン登山者がこぞってエアライズを選ぶのか、その理由を語ろう

登場人物紹介

  • JK (女子高生)
    • 登山初心者。おしゃれな海外ブランドに憧れがある。「渋い」道具にはあまり興味がないが、機能性は気になる。
  • 先生 (登山ガイド)
    • 登山歴20年。アライテントの職人魂をリスペクトしている。道具の「修理しやすさ」を重視するタイプ。

概要:アライテントは「人力」で作られている

先生
アライテントの最大の特徴は、『日本の職人が手作りしている』という点だ。埼玉県所沢市の工場で、熟練の職人がミシンを踏んで作っているんだぞ
JK
えっ、手作り!? 今どきそんなメーカーあるんですか? 全部機械じゃないの?
先生
もちろん機械も使うが、重要な縫製工程は人の手によるものだ。だから縫い目が驚くほど綺麗で、頑丈だ。そして何より、『修理対応』が神レベルに早い
JK
修理? テントって直せるんですか?
先生
海外メーカーだと『本国送り』で数ヶ月かかったり、『修理不可』と言われたりすることもある。だがアライテントは、破れたりポールが折れたりしても、送ればすぐに直して返してくれるんだ。『一生モノ』として使える安心感が違う
JK
へぇ〜! それは愛着が湧きそうですね。使い捨てじゃないって素敵かも

アライテントの主なシリーズ

  • エアライズ (AIR RAIZ):ド定番。3シーズン〜厳冬期まで対応するダブルウォール。
  • トレックライズ (TREK RAIZ):エアライズより居住性を重視したモデル。入り口が大きい。
  • オニドーム (ONI DOME):前室(土間)が広いユニークな形状。
  • Xライズ (X-RAIZ):シングルウォールの軽量モデル。

1. 全ての登山者の基準点「エアライズ」

Image Prompt: 夕暮れのテント場。エアライズの入り口が開いていて、中で登山者が地図を見ている。シンプルだが無駄のない構造。フライシートの色は伝統のオレンジ。

先生
まずはこれだ。『エアライズ』。日本の山岳テントのスタンダードと言っても過言ではない
JK
見た目は…うん、普通のテントですね(笑)。オレンジ色が目立つ!

「単純」こそが最強の機能

先生
エアライズの凄さは『構造が単純であること』だ。同じ長さのポール2本をクロスさせてスリーブに通すだけ。暗闇でも、強風の中でも、目をつぶっていても設営できるほどシンプルだ
JK
シンプルってことは、壊れにくいってことですか?
先生
その通り。複雑なパーツがないからトラブルが起きにくい。もしポールが折れても、応急処置がしやすいんだ。『山で生き残るための道具』として、徹底的に無駄を削ぎ落としている

豊富なオプションで変幻自在

先生
そして、オプションパーツが異常に多いのも特徴だ。冬用の外張り(スノーフライ)、虫除けネット、デラックスフライ(前室を広くするカバー)…。これらを組み合わせることで、夏山からヒマラヤ遠征まで対応できる
JK
へぇ〜! 着せ替え人形みたいにカスタマイズできるんですね!

リアルなデメリット:入り口が狭い?

JK
でも、なんか入り口が小さくないですか?
先生
鋭いな。エアライズの入り口は『短辺(狭い方)』についていることが多い。これだと出入りが少し窮屈だし、前室も狭くなる
JK
あー、靴を置く場所がないのは困るかも…
先生
だが、短辺に入り口があることで、狭いテント場でも設営しやすいというメリットがあるんだ。日本の山は平らな場所が少ないからな

2. 快適さを求めるなら「トレックライズ」

Image Prompt: 緑豊かな森の中のキャンプ指定地。トレックライズが張られている。入り口が長辺(広い方)にあり、大きく開いている。開放感がある。

先生
入り口の狭さが気になるなら、『トレックライズ』だ。これは長辺(広い方)に入り口があるタイプだぞ
JK
あ! こっちの方が入りやすそう! 開放感がありますね

大きな前室で煮炊きも楽々

先生
長辺に入り口があることで、前室(土間スペース)も広くなる。雨の日にここでバーナーを使ってお湯を沸かしたり、靴を置いたりするのが楽だ
JK
絶対こっちの方がいいじゃないですか! なんでみんなエアライズにするの?
先生
風に対する強さだ。長辺に入り口があると、風を受ける面積が大きくなるし、フレームの構造上、エアライズよりは耐風性が少し落ちる。『快適性』を取るならトレックライズ、『森林限界を超える高山』ならエアライズ、という選び分けだな

3. 土間が欲しい!ユニークな「オニドーム」

Image Prompt: オニドームを上から見た図。テントの床の形が独特なカーブを描いており、そのカーブ部分が広い前室(土間)になっている。

先生
最近人気なのが『オニドーム』だ。名前の通り、オニの角のような形をしているわけではないが(笑)、床の形が独特なんだ
JK
オニ…? 怖い名前(笑)

ペグダウンなしで前室ができる!?

先生
普通のテントは、前室を作るためにフライシートをペグ(杭)で地面に固定しないといけない。だがオニドームは、テントの構造だけで広い前室が作れるんだ
JK
えっ、どういうこと?
先生
床が凹んだ形をしていて、その凹み部分がそのまま土間になる。岩場とか、ペグが刺さらない硬い地面でも、広い前室が確保できる画期的なアイデアだ
JK
それは便利! 岩場ってペグ刺さらないですもんね
先生
ただし、床の形が変則的だから、寝るときに少し工夫が必要かもしれんがな

Q&A:アライテントの素朴な疑問

JK
先生、質問です!

Q. オレンジ色以外のフライシートはないんですか?

先生
あるぞ。『フォレストグリーン』という緑色も選べる。自然に溶け込みたい人はグリーンを選ぶことが多いな。ただ、遭難した時に発見されやすいのは圧倒的にオレンジだ

Q. シームコート(目止め剤)を自分で塗るって本当ですか?

先生
よく知っているな! 昔のアライテントは、縫い目の防水加工(シームコート)をユーザーが自分で塗る必要があった。『自分の道具は自分で完成させる』という儀式みたいなものだったが、最近のモデルは最初からシームテープ加工されているから安心していいぞ
JK
よかった〜! 失敗してベタベタになりそうですもん(笑)

Q. モンベルとどっちがいいですか?

先生
永遠のテーマだな…。 モンベル:コスパ最強、フライの色が豊富、機能的。 アライテント:職人品質、修理体制が完璧、シンプルで壊れない。 正直、どちらを選んでも後悔はしない。『デザインの好み』『人と同じが嫌かどうか』で決めていいレベルだ」

まとめ・比較表

JK
アライテント、最初は地味だと思ったけど、『職人の手作り』って聞くと急にかっこよく見えてきました!
先生
だろう? 使い込むほどに味が出る、まさに相棒と呼べるテントだ。修理しながら10年、20年と使っている人も多いぞ
JK
一生モノかぁ…。オレンジ色のテントでベテラン感を出すのも悪くないかも!

アライテント 比較表

モデル名 特徴 入り口 重さ おすすめユーザー
エアライズ ド定番。シンプルで最強の耐久性。オプション豊富。 短辺 (狭い) ★★★★★ (軽量) 本格的な登山、雪山、長期縦走
トレックライズ 居住性重視。入り口が広くて出入りしやすい。 長辺 (広い) ★★★★☆ (軽量) 快適さ重視、ツーリング、フェス
オニドーム 広い前室が自動的にできる。ペグが効かない場所に強い。 長辺 (変則) ★★★★☆ (軽量) 岩場でのテント泊、居住性重視
Xライズ シングルウォールで超軽量。結露対策が必要。 短辺 ★★★★★★ (最軽量) UL志向、スピードハイク
先生
アライテントを選ぶということは、日本の登山の歴史を背負うということだ(大げさだが)。大切に使えば、必ず君を守ってくれるぞ

免責事項 ※本記事の情報は執筆時点のものです。価格やスペックは変更される場合がありますので、公式サイトで最新情報をご確認ください。 ※登山用具の選択や使用は自己責任で行ってください。