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Image Prompt: アメリカのロングトレイル(PCTなど)を思わせる広大な荒野。ビッグアグネスの「フライクリーク」がポツンと張られている。薄いグレーと黄色のフライシートが自然に馴染んでいる。
導入:「半自立」って何? 立つけど立たない?
先生! テント探してたら『半自立式(はんじりつしき)』って言葉が出てきたんですけど、これどういう意味ですか? 半分だけ立つってこと?
ふむ。それはBig Agnes(ビッグアグネス)などのUL(ウルトラライト)テントによくある構造だな。簡単に言えば、『ペグ(杭)を打たないと完全な形にならない』テントのことだ
えっ、ペグ打たないと倒れちゃうんですか? なんか頼りない…
そう思うだろう? だが、その『頼りなさ』と引き換えに、劇的な軽さを手に入れているんだ。ビッグアグネスは、その軽さと居住性のバランスが絶妙で、世界中のハイカーから愛されているブランドだぞ
軽さは正義! でも、夜中に倒れてきたりしないか心配…
使いこなせば最強の武器になる。今回は、そんな少しクセのあるビッグアグネスのテントについて解説しよう
登場人物紹介
- JK (女子高生)
- 登山初心者。荷物を軽くしたいが、難しい設営は嫌。言葉の響きだけで「半自立」を敬遠している。
- 先生 (登山ガイド)
- 登山歴20年。ビッグアグネスの「マザー・オブ・コンフォート(快適さの母)」という理念に共感している。
概要:ビッグアグネスは「快適なUL」を目指す
ビッグアグネスはアメリカのブランドで、『軽さと快適さの両立』をテーマにしている。ただ軽いだけのテントなら他にもあるが、ビッグアグネスは『居住空間』を犠牲にしないのが特徴だ
そうだ。特殊なポールの形状や、素材の配置を工夫して、頭上のスペースを確保している。ただし、そのために『生地が極薄』だったり、『半自立』だったりと、ユーザーに少しの工夫を求めてくる
最初はそう感じるかもしれないが、慣れれば合理的だとわかるはずだ
ビッグアグネスの主なシリーズ
- フライクリーク (Fly Creek):ULテントの金字塔。圧倒的に軽いが、居住性はそこそこ。
- コッパースプール (Copper Spur):完全自立に近い構造。広くて快適だが、少し重くなる。
- タイガーウォール (Tiger Wall):両者のいいとこ取り。2ドアで軽量。
1. ULテントの代名詞「フライクリーク」
Image Prompt: フライクリークの入り口(短辺)が開いている様子。中はシンプル。ポールがY字型に組まれているのが透けて見える。
まずはこれだ。『フライクリーク』。ULハイカーなら一度は検討する名作だ
足元はペグダウン必須
ポールが『Y字型』になっているのがわかるか? 頭側は2本で支えているが、足元は1本しかない
あ、本当だ! 足元の方はポールが地面についてないですね
そう。だから足元の四隅をペグで引っ張って固定しないと、空間が広がらないんだ。これが『半自立』の正体だ
なるほど〜。でも、ペグが刺さらない岩場とかどうするんですか?
そこが弱点だ。岩を使って固定したり、工夫が必要になる。だが、その構造のおかげで驚異的な軽さ(2人用で約1kg以下)を実現している
1kg以下!? ペットボトル2本分!? それは魅力的かも…
2. 快適すぎて住める「コッパースプール」
Image Prompt: コッパースプールの長辺(サイド)が大きく開いている。前室も広く、靴やザックが置かれている。居住性の高さが伝わる一枚。
半自立はちょっと不安…という人には『コッパースプール』だ。これはほぼ『完全自立』する
おお! こっちの方が安心感ありますね! しかも入り口が横にある!
2つの入り口と広い前室
2人用モデルなら、入り口と前室が両サイドにある。2人で使っても相手を跨がずに外に出られるし、荷物置き場も2倍だ
居住性は抜群だ。その分、フライクリークよりは少し重くなる(2人用で約1.4kg)。それでも十分軽いがな
400gの差かぁ…。快適さを取るか、軽さを取るか、悩みますね
3. いいとこ取りの「タイガーウォール」
Image Prompt: タイガーウォール。見た目はコッパースプールに似ているが、ポール構造が少しシンプル。薄い生地が光を通して綺麗。
最近人気なのが『タイガーウォール』だ。これはフライクリークの軽さと、コッパースプールの居住性(2ドア)をミックスしたモデルだ
ただし、構造は『半自立』だ。足元はペグダウンが必要。つまり、『2ドアで便利だけど、設営には工夫がいる』という玄人好みのバランスなんだ
【重要】リアルなデメリット:薄さと寒さ
先生、いいことばっかり言ってますけど、デメリットはないんですか?
1. 生地がペラペラ
軽量化のために、生地はストッキングみたいに薄い。小枝や岩の角に引っ掛けたら一瞬で破れるぞ
専用のフットプリント(グラウンドシート)は必須だ。これを敷かずに使うのは自殺行為に近い
2. メッシュで寒い&砂が入る
インナーテントの大部分がメッシュだ。通気性は最高だが、寒い時期は風が通り抜けて寒い。そして、風が強い砂地だと、メッシュの隙間から砂埃が入ってくることがある
基本的には3シーズン(春・夏・秋)用と考えた方がいい。冬も使えなくはないが、寒さ対策は必須だ
Q&A:ビッグアグネスの素朴な疑問
Q. 「mglite」とか「HV」とか名前についてますけど?
HV (High Volume) は、ポールの角度を急にして居住空間を広げたモデルのことだ。今の現行モデルはほとんどHVになっているから、昔より広くなっているぞ
Q. ライト(照明)をつける場所はありますか?
あるぞ。天井に『メディアループ』というポケットやループがついている。さらに『マウンテングロー』という、テント生地にLEDライトが埋め込まれているモデルまであるんだ
えっ、テントが光るんですか!? パリピ仕様!?(笑)
(パリピ…)まあ、ヘッドライトを探さなくてもスイッチ一つで明るくなるのは便利だぞ
まとめ・比較表
うーん、『半自立』って最初は怖かったけど、軽さを追求するための工夫なんですね。私はやっぱり快適な方がいいから、『コッパースプール』かなぁ
賢明な判断だ。初めてのテントなら、設営が楽で居住性が高いコッパースプールが一番失敗が少ないだろう。慣れてきて『もっと軽く!』となったらフライクリークに手を出せばいい
ビッグアグネス テント比較表
| モデル名 |
特徴 |
自立 |
重さ |
おすすめユーザー |
| フライクリーク |
圧倒的な軽さ。ULテントの金字塔。足元が狭い。 |
半自立 |
★★★★★ (最軽量) |
軽さ最優先のハイカー、縦走 |
| コッパースプール |
居住性抜群。2ドア・2前室で快適。設営も楽。 |
自立 |
★★★★☆ (軽量) |
快適さ重視、2人で使う人 |
| タイガーウォール |
2ドアなのに超軽量。設営にはコツがいる。 |
半自立 |
★★★★★ (超軽量) |
軽さと便利さを両立したい人 |
ビッグアグネスのテントに入ると、その『薄さ』に最初は不安になるかもしれない。だが、その薄い膜一枚が、大自然の中で自分だけの城になるんだ。大切に使ってくれよ!
免責事項
※本記事の情報は執筆時点のものです。価格やスペックは変更される場合がありますので、公式サイトで最新情報をご確認ください。
※登山用具の選択や使用は自己責任で行ってください。