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Image Prompt: 雪の混じった岩稜帯。クライマーがブラックダイヤモンドのシンプルなザックを背負って登攀している。無駄のない動き。クールな雰囲気。
導入:そのロゴ、見たことある!
先生!この「ひし形」のマーク、よく見かけます!Black Diamond (ブラックダイヤモンド) ですよね?
お、よく知っているな。そうだ。クライミングギアから始まった、アメリカの硬派なブランドだ。
名前がもうカッコイイですよね。黒いダイヤモンド!でも、リュックはなんか…ペラペラしてません?ポケットとか全然ないし。
それがいいんじゃないか。「Simple is Best」。ブラックダイヤモンドのリュックは、無駄を極限まで削ぎ落とした機能美の塊なんだ。
Black Diamondというブランド:「ユーザー自身である」哲学
ヨセミテから始まった伝説
ブランドの歴史を知れば納得するぞ。Black Diamondの源流は1950年代後半、伝説的クライマーYvon Chouinard(イヴォン・シュイナード)がヨセミテで手作りピトンを車のトランクから売り始めたことに遡る。
そう。シュイナードの会社が破産した後、1989年に元従業員たちが資産を買い取ってBlack Diamond Equipmentとして再出発したんだ。彼らはユタ州に移転し、ワサッチ山脈のふもとで会社を続けた。
そこが重要なんだ。創業者Peter Metcalfが語った言葉がある:「to be one with the sports we serve(自分たちが奉仕するスポーツと一体になる)」。
つまり、Black Diamondは「At their core, they are a company of users」―自分たちが登山者であり、スキーヤーであり、ユーザーなんだ。だからこそ、実際に使って本当に必要なものだけを作る。
"Clean Climbing"の思想
そう。そしてもう一つ、シュイナード時代から受け継がれた「Clean Climbing(クリーンクライミング)」という思想がある。岩を傷つけない、取り外し可能なギアを使うという環境配慮の考え方だ。
ギアだけじゃなくて、リュックにもその思想があるんですか?
ああ。必要最低限の素材で、最大限の強度を出す。余計なパーツは壊れるリスクであり、環境負荷でもある。この哲学が、Black Diamondのリュック全てに貫かれているんだ。
なぜ「シンプル」が良いのか?
壊れる場所がない
ポケットやジッパーがたくさんあるリュックは便利だが、それは同時に「壊れる場所が多い」ということでもある。
あ〜、確かに。ジッパーが噛んでイライラすることあります。
ブラックダイヤモンドのアルパイン(登山)向けザックは、寸胴の袋に蓋がついただけ、のような構造のものが多い。これは軽量であり、かつ壊れにくい。過酷な環境では、この信頼性が命を守るんだ。
動きを邪魔しない
「ザックを下ろして飲め」…と言いたいところだが、最近はトレラン(トレイルランニング)の技術を取り入れたモデルも増えているぞ。
Black Diamond の革新的素材技術
鋼鉄の10倍!UHMWPE素材
でも、シンプルって言っても、ペラペラじゃ困るじゃないですか。
そこがBlack Diamondのすごいところだ。彼らはUHMWPE(超高分子量ポリエチレン)という素材を使っている。
要するに、同じ重さの鋼鉄の10倍の引裂強度を持つ素材だ。軽いのに、とんでもなく丈夫。
防水なのに軽い!Challenge ULTRA fabric
さらに、ウルトラライトモデルにはChallenge ULTRA fabricという素材を使っている。これは、ボートの帆と同じ素材で、完全防水なのにDyneema(ダイニーマ)より軽くて丈夫なんだ。
メインストリームのブランドでこれを使ってるの、Black Diamondが初めてって聞きました!
よく調べてるな。その通りだ。彼らは常に「最大の強度対重量比」を追求している。これぞエンジニアリングの美学だ。
おすすめモデル徹底解説:用途で選ぶ
【トレイルラン・ファストハイク系】
1. 走れるリュック「ディスタンス (Distance)」
Image Prompt: トレイルを走るランナー。ブラックダイヤモンドのディスタンス15を背負っている。ベスト型ハーネスで体に密着している。スピード感。
今、爆発的に売れているのが「ディスタンス」シリーズだ。見た目はリュックだが、背負う部分は「着る」感覚のベスト型になっている。
あ!これ、インスタでよく見ます!「ディスタンス15」とかですよね?
そうだ。走っても揺れないし、胸のポケットにボトルやスマホが入る。ファストハイク(速く歩く登山)や、荷物を切り詰めた日帰り登山に最適だ。
これなら私でも速く歩けそう!見た目もシュッとしてて速そうだし!
ラインナップは8L / 15L / 22Lの3種類。特にDistance 22は2023年に出た新型で、テント泊トレイルランにも対応できる容量だ。
日帰りなら15L、小屋泊や軽量テント泊を視野に入れるなら22Lだ。どちらも男性用・女性用があり、S/M/Lの3サイズ展開だから、フィットしやすいぞ。
技
- 100デニールナイロン + UHMWPE補強(鋼鉄の10倍の引裂強度)
- デュアルチェストストラップで調整可能
- "Fast & Tough Pack"(速くて頑丈)の異名
レ
「ハイブリッドパックの傑作」「汎用性、耐久性、フィット感が完璧」
2. 包み込まれるフィット感「パーシュート (Pursuit)」
ディスタンス以外にも、ファストハイク向けってあるんですか?
ああ、パーシュートだ。これは「Continuous Fit(連続フィット)」というテクノロジーを使っていて、体を包み込むような一体感がある。
シームレスなチェストハーネスが体全体を包む構造で、荷重が肩甲骨周りの高い位置に来る。だから軽くジョギングしても荷物が跳ねないんだ。
ディスタンスは「走る」に特化しているが、パーシュートは「速く歩く登山」に特化している。ヒップベルトがディスタンスより幅広で、荷重分散がさらに優れているんだ。
装
- ワンアクション圧縮システム
- トレッキングポール収納×2
- ショルダーポケット×4
- ハイドレーションポケット
レ
「背中に吸い付く快適性」「最もランニングベスト感覚のファストパック」
【ウルトラライト系】
3. 防水なのに900g以下!「ベータライト (Beta Light)」
Image Prompt: 稜線を歩く登山者。軽量なベータライト45を背負っている。空が青く、装備は最小限。UL(ウルトラライト)の美学。
先生、ウルトラライトってやつ、やってみたいんですけど…
それならベータライトだ。これはBlack Diamond初のウルトラライトバックパックで、30L / 45Lの2種類がある。
え、1kg切ってるんですか!?普通の登山リュックって2〜3kgくらいしますよね?
そう。しかも素材がChallenge ULTRA fabricという、メインストリームブランドで初めて使われた超ハイテク素材だ。完全防水で、Dyneemaより軽くて丈夫。
確かに、伝統的なハイキングよりは、ファストハイクやウルトラライトスタイルに向いている。ランニングベストハーネス構造だから、ゆっくり歩くより速く動く方が快適だ。
技
- Challenge ULTRA fabric(ボート帆素材、完全防水)
- ウーブンUHMWPE + X補強パターン
- 内部シーム処理
レ
「素材品質と防水性は最高クラス」「トレンディなデザイン」
4. 究極のパッカブル「ブリッツ (Blitz)」
Image Prompt: 岩場のテラスで休憩するクライマー。小さなザック(ブリッツ)から荷物を出している。非常にシンプルでコンパクトなザック。
アタックザック(頂上への往復に使うサブバッグ)として優秀なのが「ブリッツ」だ。
おい(笑)。まあ、だが、その通りだ。片手で開閉できるトップクロージャー、必要最低限のストラップ。使わない時は小さく畳める。
軽っ!これならメインのリュックに入れて持っていけますね。
そう。山頂アタックや、拠点から装備を置いての散策、買い出しバッグとしても使える万能サブバッグだ。
【登山・アルパインクライミング系】
5. アルパインの王道「スピード (Speed)」
Image Prompt: 雪山を登る登山者。ブラックダイヤモンドのスピードを背負っている。ピッケルホルダーやクランポンパッチがついている。本格的な装備。
本格的な登山、特に雪山やクライミングをやるなら「スピード」だ。
余計な装飾を排し、岩や氷に引っかからないようにデザインされている。ヒップベルトやフレームを取り外して、さらに軽量化することもできるぞ。
まさに「プロ仕様」って感じですね。私にはまだ早いかな…。
そんなことはない。実はSpeed 30は、初めての本格登山リュックとしても評価が高い。価格も185ドル(約27,000円)とミッドレンジで、コスパ最強なんだ。
S
- 完全ストリップダウン可能(ウエストベルト、蓋、フレームシート取り外し)
- 軽量感と超頑丈な耐久性の両立
S
- ReActiveキャリングシステム搭載(背中で動く感覚だが重心は安定)
- アイスクライミングギア、スキー運搬、クランポン取り付けに対応
- のんびりクラッグデーから本格サミットアタックまで
S
- 「これ一つで全部できる(quiver-of-one)バックパック」
- スキーA型フレーム運搬可能
- ほぼ全てのアルパインクライムに対応
レ
「必要なものすべて、不要なものは何もない」「低コスト+耐久性で数年使える」
【スキー・バックカントリー系】
6. 世界的ベストセラー「ドーンパトロール (Dawn Patrol)」
先生、スキーもやりたいんですけど、リュックって違うんですか?
バックカントリースキーなら「ドーンパトロール」だ。これはBlack Diamondの世界的ベストセラーモデルで、2015年の初登場以来、何度も改良されている。
汎用性、職人技、全体的デザインのバランスが完璧だからだ。特にDawn Patrol 32は、日帰りから小屋泊まで対応できる容量で、トップチョイスとされている。
用
- バックカントリースキー
- スノーボード
- 冬季クライミング
スキーキャリーシステムが付いていて、A型フレームで背負えるようになっている。スノーショベル、プローブ(雪崩捜索棒)も収納できるぞ。
7. ライト&ファストスキー「サーク (Cirque)」
さらに軽量志向なら「サーク」だ。これはDistanceシリーズの技術を取り入れた、スキーマウンテニアリング向けパックだ。
山スキーとも言うな。登りはスキーで、下りも滑る。とにかく軽量・高速移動が求められるスタイルだ。
ラ
22L(ベスト型) / 25L / 30L / 35L / 50L
C
- パックを脱がずにスキーを運搬可能(対角線キャリーシステム)
- ベスト型ハーネスで走れるフィット感
C
- Challenge Ultra素材使用
- 最大強度対重量比を実現
ドーンパトロールは「汎用性」、サークは「軽量・高速」だ。ゆっくり楽しむならドーンパトロール、ガチで攻めるならサークだな。
【通勤・日常系】
8. 街でも使える「ストリートクリーク (Street Creek)」
Black Diamondって、街で使えるリュックもあるんですか?
ああ、ストリートクリークだ。通勤や日常使いに特化したモデルで、24L / 30Lがある。
もちろん。だが、PCスリーブや書類用ポケットはちゃんとついている。Black Diamondの「必要なものだけ」哲学は、街でも変わらないんだ。
用途別・レベル別選び方ガイド
用途別推奨
| 用途 |
推奨モデル |
容量 |
価格帯 |
| トレイルランニング |
Distance 8/15 |
8-15L |
¥15,000-25,000 |
| ファストハイク・軽量日帰り |
Distance 15/22, Pursuit 15 |
15-22L |
¥20,000-30,000 |
| ウルトラライトハイキング |
Beta Light 30 |
30L |
¥35,000-45,000 |
| 日帰り〜1泊登山 |
Pursuit 30, Beta Light 45 |
30-45L |
¥30,000-45,000 |
| アタックザック |
Blitz 20 |
20L |
¥15,000-20,000 |
| アルパインクライミング |
Speed 22/30 |
22-30L |
¥25,000-35,000 |
| 雪山・本格登山 |
Speed 40/50 |
40-50L |
¥35,000-50,000 |
| バックカントリースキー(日帰り) |
Dawn Patrol 15/25, Cirque 22 |
15-25L |
¥25,000-40,000 |
| バックカントリースキー(小屋泊) |
Dawn Patrol 32, Cirque 30/35 |
30-35L |
¥35,000-50,000 |
| 通勤・日常 |
Street Creek 24/30 |
24-30L |
¥20,000-30,000 |
レベル別推奨
初
- Distance 15: ファストハイク入門に最適。「着る」感覚で身体への負担が少ない
- Pursuit 15: 快適性重視。包み込まれるフィット感が安心
- Speed 30: アルパイン入門。シンプルで使いやすく、コスパ最高
中
- Distance 22: テント泊も視野に入れたファストハイク
- Pursuit 30: 本格的なファストハイキングに
- Beta Light 30/45: ウルトラライト志向に目覚めたら
- Dawn Patrol 25: バックカントリースキーデビュー
上
- Speed 40/50: 本格アルパインクライミング、長期縦走
- Cirque Ultra: 軽量スキーツーリング、山スキーレース
- Beta Light 45: ウルトラライトエキスパート、FKT(最速踏破記録)挑戦
競合ブランドとの比較
vs Salomon ADV Skin(ファストハイク)
- Salomon: より薄手、レース志向、軽量性最優先
- Black Diamond Distance: 耐久性と軽量性のバランス、「Fast & Tough」
vs Osprey Duro/Dyna(トレイルラン・ハイキング)
- Osprey: 快適性重視、重め(約600-800g)、初心者フレンドリー
- Black Diamond Distance/Pursuit: 軽量(約400-600g)、フィット感、ハイブリッド性能
vs Arc'teryx Alpha(アルパインクライミング)
- Arc'teryx: より洗練されたデザイン、高価格(¥50,000-80,000)
- Black Diamond Speed: シンプル信頼性、コスパ最高(¥25,000-50,000)
vs Patagonia Ascensionist(アルパイン)
- Patagonia: 環境配慮素材、リサイクル素材多用
- Black Diamond Speed: 軽量性・強度優先、実用主義
vs Hyperlite Mountain Gear(ウルトラライト)
- HMG: Dyneema、完全防水、高価格(¥50,000-80,000)、カルト的人気
- Black Diamond Beta Light: Challenge ULTRA、メインストリームブランドの信頼性、やや低価格
vs Gossamer Gear(ウルトラライト)
- Gossamer Gear: シンプル、低価格(¥20,000-35,000)、防水性弱い
- Black Diamond Beta Light: 高性能素材、完全防水、やや高価格
まとめ:不便を楽しむ余裕を持て
ブラックダイヤモンド、カッコイイけど…やっぱりポケット欲しいかも(笑)。
最初はそう思うかもしれない。だが、登山に慣れてくると「あれもこれも」と持ち歩くより、「必要なものだけ」を持つスタイルに惹かれてくるものだ。
Black Diamondのリュックは、そんな「足るを知る」登山者にふさわしい相棒だ。彼らは1950年代からクライマー自身が作り続けてきたブランドで、「ユーザー自身である」ことを誇りにしている。
確かに、本当に必要なものを熟知してる人が作ってるんですもんね。
そう。だからこそ、必要なものすべて、不要なものは何もない。これがBlack Diamondの美学だ。
まずは「ディスタンス15」から試してみるといい。世界が変わるぞ。「着るリュック」の衝撃を味わってくれ。
そして、山に慣れてきたら、自分のスタイルに合わせて選ぶといい。ファストハイクを極めるならPursuit 30、ウルトラライトに目覚めたらBeta Light、アルパインに挑戦するならSpeed、雪山に行くならDawn Patrol。Black Diamondには、どんなステージにも応える相棒がいる。
それでいい。山を続けていれば、自然と自分に必要なリュックが分かってくる。Black Diamondは、その時に必ずそばにいるブランドだ。
免
本記事の情報は執筆時点のものです。最新の製品仕様や価格については、メーカーの公式サイトや販売店でご確認ください。登山は自己責任で行い、装備は自分の体力や技術に合わせて選びましょう。