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導入
モンベルの寝袋を買おうと思ってカタログを開いたら、ダウンハガー、バロウバッグ、シームレス、番号がついてる...種類が多すぎて何を選べばいいのか全くわからない。そんな経験はありませんか?
この記事では、登山ガイドの先生が、モンベルの寝袋の全モデルを徹底解説。ダウンと化繊の違い、温度域の見方、独自技術の意味、そして用途別のおすすめモデルまで、初心者にもわかりやすく説明します。
登場人物紹介
登山を始めたばかりの初心者。見た目も大事だけど、快適に眠りたい。専門用語は苦手。
登山歴20年のベテラン。道具選びには妥協しない。機能美を愛する実用主義者。
なぜモンベルの寝袋は種類が多いのか?
先生、モンベルの寝袋って種類が多すぎませんか?どれを選べばいいのか全然わからないんですけど...
それは用途によって最適な寝袋が違うからだ。夏の低山キャンプと冬の雪山では、必要な保温性が全く異なるだろう?
モンベルの寝袋は、大きく分けて「ダウンモデル」と「化繊モデル」の2種類がある。さらに、温度域によって番号が振られていて、「#0」から「#7」、そして最も暖かい「EXP」まである。数字が小さいほど寒い環境に対応しているんだ。
なるほど...でも、ダウンと化繊って何が違うんですか?
それぞれに長所と短所がある。まずはその違いから説明しよう。
モンベル寝袋の主なシリーズ
ダウンモデル:
- ドライ シームレス ダウンハガー900: 最高品質の900FPダウン、防水透湿性、雪山向け
- シームレス ダウンハガー800: 800FPダウン、軽量コンパクト、オールラウンド
- ダウンハガー650: 650FPダウン、コスパ良好、初心者向け
- ダウンファミリーバッグ: 封筒型、キャンプ・車中泊向け
化繊モデル:
- シームレス バロウバッグ: エクセロフト、濡れに強い、メンテナンス簡単
- シームレス アルパインバロウバッグ: 軽量化繊、登山向け
- ファミリーバッグ: 封筒型化繊、ファミリーキャンプ向け
モンベル独自の技術を理解しよう
カタログに「スーパースパイラルストレッチシステム」とか「シームレス構造」とか書いてあるんですけど、これって何ですか?呪文ですか?
ははは、確かに専門用語だらけだな。だが、これらはモンベルの寝袋を語る上で欠かせない技術だ。順番に説明しよう。
スーパースパイラルストレッチシステム
これはモンベルの寝袋の最大の特徴だ。生地を斜め方向に配置し、縫製部分に糸ゴムを使用することで、寝袋が最大135%も伸び縮みするんだ。
つまり、寝袋の中で寝返りを打っても、生地が体の動きに追従してくれる。従来のマミー型寝袋は窮屈で動きにくかったが、このシステムのおかげで快適に眠れるようになった。
なるほど...でも、伸びるってことは保温性が落ちたりしませんか?
良い質問だ。実は逆なんだ。体との間に無駄な空間ができないから、保温効率が高まる。隙間があると冷気が入り込んでしまうからな。
シームレス構造
従来のダウン寝袋は、ダウンの偏りを防ぐために内部を隔壁で仕切っていた。だが、モンベルの「シームレス構造」では、この隔壁をなくしている。
隔壁をなくして大丈夫なんですか?ダウンが偏っちゃいませんか?
スパイダーバッフルシステム
これは世界初の技術だ。隔壁の代わりに「スパイダーヤーン」という特殊な糸を寝袋内部に張り巡らせて、ダウンを絡め取ることで偏りを防いでいる。
まさにその通りだ。これにより、隔壁がなくてもダウンが均等に分散され、コールドスポット(冷たい部分)の発生を抑えられる。さらに、隔壁を縫い留めるための針穴がほとんどなくなるから、冷気の侵入や暖まった空気の放出も防げるんだ。
すごい...でも、そんな高度な技術を使ってるってことは、高いんですよね?
シームレス構造を採用したモデルは確かに高価だ。だが、その分、軽量・コンパクトで保温性も高い。登山で荷物を軽くしたい人には価値がある投資だと思うぞ。
ダウンモデル徹底解説
最高峰の性能なら「ドライ シームレス ダウンハガー900」
\u003e Image Prompt: 雪山のテント内で、ドライ シームレス ダウンハガー900を使用している登山者。外は吹雪いているが、寝袋の中は快適そう。
まずは最高峰モデルから紹介しよう。「ドライ シームレス ダウンハガー900」は、世界最高品質の900フィルパワー(FP)のEXダウンを使用している。
ダウンの品質を表す指標だ。1オンス(約28g)のダウンがどれだけ膨らむかを立方インチで表したもので、数値が高いほど少ない量で高い保温性を得られる。900FPは最高クラスだ。
その通り。このモデルの最大の特徴は、外側生地にGORE-TEXを使用していることだ。完全防水で、縫い目もシームテープで防水処理されている。
まさにそういうことだ。高所の雪山では結露が激しいが、このモデルなら寝袋カバーなしでも使える。内側には「スーパースパイラルストレッチシステム」も搭載されていて、伸縮率は135%だ。
スペック:
- 価格: ¥80,000(税込)
- 重量: 870g(スタッフバッグ含む総重量898g)
- ダウン品質: 900FP グースダウン
確かに高価だ。だが、国内2,000m級の冬山で幅広く使える保温力と、防水性、軽量性を兼ね備えている。厳しい環境で命を預ける道具と考えれば、妥当な価格だと私は思う。
初心者には確かにオーバースペックだな。次はもう少し手頃なモデルを紹介しよう。
バランス重視なら「シームレス ダウンハガー800」
\u003e Image Prompt: 秋の北アルプスのテント場で、シームレス ダウンハガー800を使用している登山者。紅葉が美しい。
「シームレス ダウンハガー800」シリーズは、800FPのEXダウンを使用していて、軽量性と保温性のバランスに優れている。
フィルパワーの差は確かにあるが、800FPでも十分に高品質だ。このシリーズには女性専用モデルもあって、女性の体型に合わせて保温効率を高めている。
女性は男性に比べて足元が冷えやすい。だから、足元部分のダウン量を増やしたり、全体的にゆとりを持たせたりしている。体型に合った寝袋を使うことで、保温効率が格段に上がるんだ。
代表モデルのスペック:
シームレス ダウンハガー800 #0
- 価格: ¥56,650(税込)
- 重量: 995g(スタッフバッグ含む総重量1,027g)
- 快適温度: -12℃
- 使用可能温度: -20℃
シームレス ダウンハガー800 #1
- 価格: ¥51,150(税込)
- 重量: 866g(スタッフバッグ含む総重量893g)
- 収納サイズ: ∅17×34cm (ロングモデルの場合)
- 快適温度: -6℃
- 使用可能温度: -13℃
シームレス ダウンハガー800 #3
- 価格: ¥36,300(税込)
- 重量: 531g(スタッフバッグ含む総重量555g)
- 収納サイズ: ∅13×26cm(3.0L)
- 快適温度: 0℃
- 使用可能温度: -5℃
#3が一番軽くて安いんですね。これなら手が届きそう...
#3は3シーズン(春・夏・秋)に対応していて、汎用性が高い。初めての山岳用寝袋としておすすめだ。
でも、快適温度が0℃ってことは、夏は暑すぎませんか?
良い指摘だ。夏の低山では確かに暑いかもしれない。その場合は、ジッパーを開けて温度調節するといい。逆に、冬の低山や春秋の高山では、この保温力が必要になる。
コスパ重視なら「ダウンハガー650」
\u003e Image Prompt: 初夏の山小屋近くのテント場で、ダウンハガー650を使用している初心者登山者。
「ダウンハガー650」は、650FPのダックダウンを使用したモデルだ。シームレス構造ではないが、ボックス構造でダウンのロフトを確保している。
ダックは鴨、グースは鵞鳥だ。一般的に、グースダウンの方が大きくて保温性が高いとされているが、ダックダウンでも十分な性能がある。その分、価格が抑えられているんだ。
代表モデルのスペック:
ダウンハガー650 #1
- 重量: 1,190g(スタッフバッグ含む総重量1,220g)
- 収納サイズ: ∅19×38cm(9.5L)
- 快適温度: -5℃
- 使用可能温度: -12℃
- 適応身長: 183cmまで
- 価格: ¥43,580(Amazon参考価格)
ダウンハガー650 #5
- 重量: 575g(スタッフバッグ含む総重量599g)
- 収納サイズ: ∅15×30cm(4.0L)
- 価格: ¥24,000~¥30,650(Amazonなど参考価格)
#5は夏の登山やキャンプに最適だ。ただし、快適温度は高めなので、寒がりの人や標高の高い場所では物足りないかもしれない。
じゃあ、私みたいな初心者は#3くらいがちょうどいいってことですか?
その通りだ。#3は春から秋まで幅広く使えるから、最初の一つとしておすすめだ。
ファミリーキャンプなら「ダウンファミリーバッグ #3」
\u003e Image Prompt: キャンプ場のテント内で、ダウンファミリーバッグを使用している家族。封筒型で広々としている。
「ダウンファミリーバッグ #3」は、封筒型のダウン寝袋だ。マミー型と違って、布団に近い感覚でゆったりと眠れる。
その通り。体との隙間が多い分、マミー型に比べて保温性は劣る。だが、車中泊やファミリーキャンプなど、重さや収納サイズがそこまで気にならない場面では、快適性を優先できる。
L字ジッパーで掛け布団みたいに使えるんですね。これは便利かも...
同じモデルを横に連結することもできるから、家族で使うのにも適している。コストパフォーマンスも良好だ。
化繊モデル徹底解説
ダウンモデルはわかりました。次は化繊モデルですね。
そうだ。化繊モデルの中綿は、モンベル独自開発の「エクセロフト」という素材を使っている。
エクセロフトって何?
ははは。エクセロフトは、太さの異なる3種類のポリエステル繊維をブレンドした高機能中綿素材だ。
最大の違いは「濡れに強い」ことだ。ダウンは水に濡れると保温力が激減するが、エクセロフトは保水しにくいポリエステル繊維にシリコーンコーティングを施しているから、汗や雨で濡れてもかさ高さを損なわず、保温力をキープできる。
さらに、速乾性にも優れている。洗濯してもすぐ乾くし、スタッフバッグからの出し入れや洗濯を繰り返しても、ロフト(かさ高さ)を高いレベルで維持できる。耐久性が高いんだ。
そうとも言えない。化繊はダウンに比べて重くてかさばる。同じ保温性を得ようとすると、ダウンの方が軽量でコンパクトになる。
万能選手なら「シームレス バロウバッグ」
\u003e Image Prompt: 春の北アルプスのテント場で、シームレス バロウバッグを使用している登山者。残雪が残る景色。
「シームレス バロウバッグ」シリーズは、エクセロフトを中綿に使用したマミー型寝袋だ。伸縮率124%の「スーパースパイラルストレッチシステム」を採用している。
わずかな差だが、その通りだ。だが、124%でも十分に快適だぞ。シームレス構造により、表地の縫い目を極限まで減らして、中綿のつぶれによるコールドスポットの発生を防いでいる。
代表モデルのスペック:
シームレス バロウバッグ EXP.
- 重量: 2,690g(スタッフバッグ含む2,805g)
- 快適温度: -11℃
- 使用可能温度: -18℃
- 収納サイズ: Φ25×50cm(22.1L)
- 極寒地や高所での使用にも耐え得る、極めて高い保温性
シームレス バロウバッグ #0
- 重量: 2,060g(スタッフバッグ含む2,157g)
- 快適温度: -8℃
- 使用可能温度: -15℃
- 収納サイズ: Φ22×44cm(14.8L)
- 国内の3,000m級の冬山や冬季キャンプで活躍
シームレス バロウバッグ #3
- 重量: 933g(スタッフバッグ含む963g)
- 価格例: 19,800円~23,800円
- 夏の高山から冬の低山キャンプまで一年を通して使える
#3でも933gか...ダウンハガー800 #3の531gと比べると、結構重いですね。
その通りだ。だが、価格は2万円前後とダウンモデルより安い。さらに、自宅で洗濯できるから、メンテナンスが簡単だ。
ダウンモデルも洗濯できるが、専用洗剤が必要で、乾燥に1週間ほどかかる。化繊なら家庭用の中性洗剤で洗えて、乾燥も早い。
それなら、初心者は化繊から始めた方がいいんですか?
用途による。車中泊やファミリーキャンプなら化繊で十分だ。だが、登山で荷物を軽くしたいなら、ダウンの方が適している。
登山向け化繊なら「シームレス アルパインバロウバッグ」
\u003e Image Prompt: 夏の縦走路で、シームレス アルパインバロウバッグを背負っている登山者。軽量コンパクトなパッキング。
「シームレス アルパインバロウバッグ」は、化繊モデルの中でも軽量化を追求したシリーズだ。濡れても保温力を保ちやすく、夏の縦走や夏キャンプなど幅広いシーンで活躍する。
そうだ。通常の化繊モデルより軽量・コンパクトで、スパイラルストレッチシステムも搭載している。ダウンの水濡れが心配な梅雨時期の登山などにも適している。
温度域の見方を理解しよう
先生、さっきから「快適温度」とか「使用可能温度」とか出てきますけど、これってどう見ればいいんですか?
重要な質問だ。これを理解しないと、寒くて眠れないという失敗をしてしまう。
快適温度(Comfort Temperature)
快適温度は、一般的な成人女性が、寒さを感じずにリラックスした体勢で快適に睡眠をとれるとされる温度域だ。
そうだ。女性は男性より寒がりだからな。多くの人が快適に眠れる温度の目安と考えていい。
使用可能温度/限界温度(Limit Temperature)
使用可能温度は、一般的な成人男性が、寝袋の中で丸くなった状態で8時間、寒さを感じながらもなんとか睡眠を維持できるとされる温度域だ。
寒さを感じながら...それって快適じゃないですよね?
その通り。快適な睡眠は期待できない。生命の危険はないとされる温度の目安だ。
じゃあ、快適温度を基準に選んだ方がいいってことですか?
まさにその通りだ。使用可能温度はあくまで限界値だから、快適性を求めるなら快適温度を参考にすべきだ。さらに、実際に使用する場所の最低気温よりも余裕を持った温度域の寝袋を選ぶことが大切だ。
危険温度域(Danger Temperature Range)
この温度域では低体温症などの危険があり、寝袋の使用は推奨されていない。モンベルも危険温度域での使用は推奨していないぞ。
ユーザーの本音レビュー
良い質問だ。カタログスペックだけでなく、実際のユーザーレビューも重要だからな。
バロウバッグシリーズの評価
バロウバッグは、初心者や車中泊での使用におすすめされていて、コスパの良さが評価されている。
「#0モデルは真冬でも十分な暖かさがある」という声が多い。長年愛用しているユーザーもいるな。
ただし、ダウン製に比べると収納サイズや重量がやや大きくなるため、登山には不向きという意見もある。だが、その保温性と快適性は高く評価されている。
そうだ。あと、ジッパーが噛みにくい設計も好評だ。安い寝袋だとジッパーがすぐ壊れることがあるからな。
ダウンハガーシリーズの評価
ダウンハガーは、登山者におすすめされていて、軽量性、コンパクト性、保温性の高さが評価されている。
「ダウンハガー650 #3」はオールシーズン使用可能で、優れた伸縮性と保温性が特徴だ。「ダウンハガー800 #1」は冬キャンプ(-3℃程度まで)でぐっすり眠れると高評価で、高価ではあるものの品質に満足しているユーザーが多い。
もちろんだ。「ダウンハガー800 #3 (Women's)」は女性の体型にフィットし、軽量コンパクトで十分な保温力があるが、寒がりの人は0℃前後で肌寒さを感じることがあるようだ。
そうだ。だから、自分の体質(寒がりか暑がりか)も考慮して選ぶ必要がある。あと、5年以上、200泊以上の使用でも問題なく使えているという耐久性の高さも報告されている。
他ブランドとの比較
モンベル以外にも寝袋のブランドってありますよね?他と比べてモンベルってどうなんですか?
良い質問だ。主要な日本ブランドとして、ナンガ、イスカがある。海外ブランドではシートゥサミットも人気だ。
モンベル vs ナンガ
ナンガは、高品質なダウンと永久保証で知られている。ヨーロッパ産や国内で洗浄された高品質なダウンを使用していて、高い保温性を誇る。
そうだ。自社工場での丁寧な製造に加え、ダウン製品には永久保証が付帯していて、修理や羽毛の増量にも対応している。さらに、独自の防水透湿素材「オーロラテックス」や、羽毛自体に撥水加工を施した「UDD BAG」シリーズなど、ダウンの弱点である水濡れに強い製品を提供している。
一概には言えない。ナンガは高品質だが、その分価格も高い。モンベルは、手頃な価格帯の製品が多く、充実したアフターサービスも特徴だ。さらに、スーパースパイラルストレッチシステムによる快適性は、モンベルならではの強みだ。
モンベル vs イスカ
イスカは、寝袋専門メーカーとして長年のノウハウと高い技術力を持っている。人体の形状に沿った独自の3D構造により、熱損失を最小限に抑え、快適なフィット感と保温性を両立している。
そうだ。さらに、厳しい縫製基準をクリアした製品のみを提供していて、耐久性が高い。特に登山用の寝袋は軽量性、コンパクト性に優れている。
イスカは軽量・コンパクトさを求める登山者に人気だ。モンベルはストレッチ性による快適さを重視している。どちらも優れたブランドだから、実際に店頭で試してみて、自分に合う方を選ぶといい。
モンベル vs シートゥサミット
シートゥサミットは、オーストラリア発のブランドで、「海から山頂まで」というコンセプトの通り、超軽量でコンパクトな寝袋を多数ラインナップしている。
そうだ。850+フィルパワーの高級グースダウンを使用し、軽量ながら優れた保温性を実現している。ダウン自体に撥水加工が施されていて、水濡れに強いのも特徴だ。
それって、モンベルのドライ シームレス ダウンハガー900と似てますね。
良いところに気づいたな。どちらも高所登山向けのハイエンドモデルだ。シートゥサミットはデザイン性も高く評価されている。ただし、価格はモンベルより高めだ。
そうだ。モンベルは日本のブランドだから、日本人の体型に合わせた設計がされているのも強みだ。
メンテナンス・洗濯・保管方法
もちろんだ。むしろ、定期的に洗濯しないと保温性が落ちる。
なぜ洗濯が必要なのか
寝袋に皮脂などが付着すると、保温材が含むことができる空気の量が減り、保温性が低下するんだ。これを防ぐためには、定期的かつ適切なお手入れが不可欠だ。
ダウンと化繊で方法が少し違うから、それぞれ説明しよう。
ダウン製寝袋の洗濯方法
まず、ダウンのタンパク質を損ない保温性を低下させる可能性があるため、一般的な家庭用洗剤ではなく、モンベルの「O.D.メンテナンス ダウンクリーナー」などのダウン製品専用洗剤を使用する。
そうだ。次に、浴槽や大きめの洗い桶に40℃以下のぬるま湯を張り、洗剤を入れる。ジッパーを閉めた寝袋を軽くたたんで空気を押し出し、ぬるま湯に浸す。
ダウンは繊細だから、手洗いが基本だ。足で優しく踏み洗いをして、汚れが浮き出てぬるま湯が濁ってくるまで行う。
そうだ。すすぎは、洗い桶の栓を抜くか、傾けて寝袋内部の水を自然に排出させる。その後、きれいな水に浸し、水が濁らなくなるまで十分にすすぎを繰り返す。
羽毛にダメージを与えないよう、絞らずに上から押さえるようにして水分を押し出す。ある程度水分が出たら、バスタオルに挟んで残りの水分を吸い取る。
日陰で平干しまたは吊るして自然乾燥させる。乾燥中にダウンの偏りをほぐすために、全体を優しくたたく。完全に乾くまでには1週間ほどかかる場合もある。
紫外線による劣化を防ぐため、日陰で乾燥させることが重要なんだ。時間はかかるが、寝袋を長持ちさせるためには必要な工程だ。
化繊製寝袋の洗濯方法
化繊は、家庭用の中性洗剤を使用できる。ただし、柔軟剤入りのものは避けること。
そうだ。ダウン製と同様に手洗いも可能だが、洗濯機の手洗いモードやドライコースで洗うこともできる。この際、寝袋を洗濯ネットに入れると良い。
ただし、化繊綿は乾燥機にかけるとダメージを受ける可能性があるため、必ず日陰で平干しまたは吊るして自然乾燥させる。
保管方法
寝袋のロフト(かさ高さ)の回復力低下を防ぐため、長期間保管する際は圧縮せずにゆったりと保管することが重要だ。
スタッフバッグに入れっぱなしはダメってことですか?
その通り。通気性の良い大きめの収納袋(ストリージバッグ)に入れて、湿度の少ない場所で保管する。モンベルではメッシュタイプやタフタタイプのストリージバッグを用意している。
なるほど...ちゃんと手入れしないと、すぐダメになっちゃうんですね。
そうだ。だが、適切な手入れと保管をすれば、10年以上使えるぞ。
初心者向け選び方ガイド
結局、私みたいな初心者はどれを選べばいいんですか?
登山で使う場合
登山では、軽量性、コンパクト性、高い保温性が重要だ。形状はマミー型が基本で、中綿はダウンがおすすめだ。
特にフィルパワーの高いモデル(例:シームレスダウンハガー800/900シリーズ)は、軽さと保温性のバランスに優れている。初心者向けモデルとしては、「ダウンハガー650 #3」が推奨されている。
女性登山初心者には、女性の体型に合わせて設計された「シームレス ダウンハガー800 Women's #5」もおすすめだ。
キャンプで使う場合
キャンプでは、快適性、汎用性、メンテナンスのしやすさが重要だ。形状はマミー型と封筒型の両方が選択肢になる。
その通り。保温性を重視しつつ快適さも求めるなら、ストレッチ性のあるマミー型が良い。中綿は、ダウン、化繊どちらでもOKだ。メンテナンスのしやすさやコストを考慮するなら化繊(バロウバッグシリーズ)、軽さや保温性を重視するならダウン(ダウンハガー650シリーズなど)を選ぶといい。
「ダウンファミリーバッグ #3」は、春から秋のキャンプや車中泊におすすめの封筒型ダウン寝袋だ。コストパフォーマンスも良く、家族キャンプや初心者にも適している。化繊の「シームレスバロウバッグ #3」も、3シーズンの登山やキャンプに活躍する。
車中泊で使う場合
車中泊では、広さ、快適な寝心地、メンテナンスのしやすさ、コストパフォーマンスが重要だ。
封筒型が特におすすめだ。布団に近い感覚でゆったりと眠れ、圧迫感が少ないため車中泊に最適だ。マミー型でも、モンベルのストレッチシステムが搭載されていれば快適に使用できる。
化繊(バロウバッグシリーズ)が強く推奨される。濡れに強く、手入れが簡単なため、車内での使用や汚れが気になる場合に適している。また、価格も手頃だ。冬の車中泊には、ダウンファミリーバッグや、化繊のバロウバッグ#0がおすすめだ。
「ダウンファミリーバッグ #3」は、車中泊やアウトドア初心者にも扱いやすく、春から秋の利用に適している。また、「モンベル バロウバッグ #0」は、冬の車中泊においてコストパフォーマンスに優れると評価されている。
初心者へのアドバイス
まずは「#3」か「#5」から
多くのフィールドで活躍する3シーズン対応の「#3」や、夏のキャンプに適した「#5」から始めると良い。
快適温度を重視
寝袋に表示されている「快適温度」は、寒さを感じずにリラックスして眠れる目安だ。「使用可能温度」はあくまで限界の温度なので、快適性を求めるなら「快適温度」を参考に選ぶこと。
実物で寝心地を確認
可能であれば、店頭で実際に寝袋に入ってみて、フィット感や伸縮性を確認することをおすすめする。
化繊から始める選択肢
コストを抑えたい、メンテナンスのしやすさを重視したい場合は、化繊のバロウバッグシリーズも非常に優秀な選択肢だ。
わかりました! 私はまずキャンプから始めたいので、バロウバッグ #3を検討してみます!
まとめ・比較表
先生、いろいろ教えてもらってありがとうございました。でも、やっぱりまだ迷っちゃいます...
そうだろうな。最後に、主要モデルを比較表にまとめておこう。
| シリーズ名 |
中綿 |
特徴 |
おすすめユーザー |
価格帯 |
| ドライ シームレス ダウンハガー900 |
900FPダウン |
最高品質、防水透湿性、超軽量 |
厳冬期登山、高所登山 |
¥80,000 |
| シームレス ダウンハガー800 |
800FPダウン |
軽量コンパクト、バランス良好 |
オールラウンド登山 |
¥36,300〜¥56,650 |
| ダウンハガー650 |
650FPダウン |
コスパ良好、初心者向け |
登山初心者、3シーズン |
¥24,000〜¥43,580 |
| ダウンファミリーバッグ |
ダウン |
封筒型、ゆったり快適 |
ファミリーキャンプ、車中泊 |
- |
| シームレス バロウバッグ |
エクセロフト |
濡れに強い、メンテナンス簡単 |
登山、キャンプ、車中泊 |
¥19,800〜 |
| シームレス アルパインバロウバッグ |
エクセロフト |
軽量化繊、登山向け |
夏山縦走、梅雨時期の登山 |
- |
| ファミリーバッグ |
エクセロフト |
封筒型化繊、コスパ良好 |
ファミリーキャンプ、初心者 |
- |
寝袋は、実際に店頭で試してから買うことだ。カタログスペックだけでは、自分に合うかどうかわからない。
確かに...実際に入ってみないとわからないですよね。
そうだ。モンベルストアに行けば、実際に寝袋に入って試すことができる。スタッフに相談すれば、君の用途に合ったモデルを提案してくれるぞ。
良い寝袋に出会えることを祈っているぞ。快適な睡眠は、翌日のパフォーマンスに直結するからな。
この記事が、あなたのモンベル寝袋選びの参考になれば幸いです。良い山旅を!