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導入
先生、登山始めたいんですけど、リュックの種類が多すぎて訳わかりません!お店に行っても「どれでもいいじゃん」ってなっちゃって…。
初心者あるあるだな。確かに、最初は選択肢が多すぎて思考停止に陥りがちだ。
そうなんです!だからもう、先生が決めてください!「これ買っとけば間違いない」ってやつ!
ほう、言い切ったな。ならば答えは一つだ。ミレー (Millet) の「サースフェー (Saas Fee)」を買え。
サースフェー?聞いたことないんですけど、そんなにいいんですか?
「日本の登山者の制服」と言ってもいいくらいのド定番だ。なぜ初心者にこれほど推すのか、その理由を解説しよう。
概要: ミレーと「サースフェー」の凄さ
ミレーはフランスの老舗アルパインブランドだが、日本で売られているモデルの多くは日本企画だ。つまり、日本人の体型や日本の山の気候に合わせて作られている。
日本は降水量が多く、蒸し暑い山岳環境が特徴だ。だから日本企画のサースフェーは、優れた撥水性能と、汗を保水しにくい背面構造を追求している。耐水圧1500mm以上という数値は、小雨程度なら余裕で弾くレベルだ。
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「日本は降水量が多く、蒸し暑い山岳環境が特徴です。そのため、日本企画のサースフェーは、優れた撥水性能と、汗を保水しにくい背面構造を追求しています」(出典: PR TIMES - ミレー公式プレスリリース)
そうだ。さらに、日本のユーザーの声が反映されて、機能的な収納力も充実している。ショルダーハーネスやヒップベルトの収納力がアップデートされていて、背負ったままでもアクセスしやすい計8個のポケットを備えたモデルもある。
主なシリーズ
- サースフェー (Saas Fee): ミレーの看板モデル。ハイキングから本格登山まで対応する万能選手。
- クーラ (Kula): 街使いも意識したスタイリッシュなモデル。
- プロライター (Prolighter): クライミング要素の強い、玄人向けモデル。
[迷ったらこれ]「サースフェー (Saas Fee)」を買うべき3つの理由

なぜ私がここまでサースフェーを推すのか。理由は3つある。
理由1: 「ファーストクラスの背負い心地」
サースフェーは「ファーストクラスの背負い心地」と評されるほど、フィット感の高さが特徴だ。背中全体に荷重が分散される設計で、長時間の登山でも疲れにくい。
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「ファーストクラスの背負い心地」と評されるフィット感の高さが特徴で、様々なレビューでその快適性が評価されています(出典: YAMAHACK)
まさにそういうイメージだ。ショルダーハーネスとヒップハーネスには硬く厚みのあるクッション材が採用されていて、ショルダーハーネスには自然なカーブをキープする樹脂の芯材が搭載されている。スタビライザーで細かいフィット感の調整もできる。
私が以前、北アルプスの涸沢で2泊3日のテント泊をした時、サースフェー40+5を使ったんだが、15kgの荷物を背負っても肩や腰の痛みがほとんどなかった。背中に吸い付くような一体感があって、重心が安定するんだ。
15kgって…私の体重の4分の1くらいじゃないですか!それでも痛くないんですか?
そこがサースフェーの凄さだ。荷重が偏らないように設計されているから、実際の重量よりも軽く感じる。「軽いザックにしたから楽に背負える」とは限らないという検証結果もあって、サースフェーはより軽い他社製品よりも重い荷物を快適に運べるとされている。
理由2: 蒸れない!「フィルターフォーム」の威力
背中とリュックが密着するタイプは蒸れやすいという欠点があるが、サースフェーは違う。背面には「フィルターフォーム」という保水しにくいクッション材が使われていて、高い通気性と速乾性を実現している。
簡単に言えば、水を吸わないスポンジのようなものだ。汗をかいても背面が濡れたままにならず、すぐに乾く。クッション部以外はメッシュ構造になっていて、空気の流れを確保している。
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「背面には水はけの良いフィルターフォームクッションが採用されており、クッション性と排水性を両立しています」(出典: YAMAHACK)
そうだ。グレゴリーのズールのような「トランポリン型」システムと比較すると通気性で一歩譲る可能性はあるが、サースフェーはフィット感と安定性を重視しつつ、蒸れにくさを両立させている。背中が引っ張られる感覚が少ないのもメリットだ。
理由3: 「あったらいいな」が全部ある
サースフェーは、初心者が山で「困った」と思うポイントを先回りして解決してくれている。
まず、サイドボトルポケット。背負ったままボトルが取り出しやすい。次に、ヒップベルトポケット。500mlペットボトルが入るほどの大型ポケットで、スマホや行動食をすぐに取り出せる。
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「バックパックを背負ったまま水筒や薄手のウェアを取り出せるサイドアクセスポケットが便利です」(出典: YAMAHACK)
スマホが入るの重要!いちいちリュック下ろすの面倒ですもんね。
さらに、2気室構造で効率的なパッキングが可能だ。ストラップを外せば1気室としても使える。U字型ダイレクトアクセスジッパーでメイン収納部への荷物の出し入れも容易だ。
そして、ミレーならではの独自機能がハンドレストループだ。腕の重さを分散して、むくみを軽減してくれる。長時間歩くと腕がパンパンになることがあるが、これがあると楽なんだ。
リアリティとデメリット
山に行けば、必ずと言っていいほど同じリュックを背負っている人とすれ違う。「人と同じは嫌だ!」という個性派には向かないかもしれないな。
まあ、それだけ信頼されている証拠だけどな。次に、重量だ。サースフェー30+5は約1,500g、40+5は約1,600gと、軽量を謳うザックと比較すると重めだ。
そうだ。ウルトラライト志向のユーザーには不向きかもしれない。ただし、先ほど言ったように、優れた背負い心地と荷重分散能力で、実際の重量よりも軽く感じるという評価が多い。
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「サースフェー 30+5L(サイズS)は約1450g、サースフェー NX 30+5Lは1500gと、軽量を謳うザックと比較すると重めであると指摘されています」「しかし、多くのレビューでは、その優れた背負い心地と荷重分散能力により、実際の重量よりも軽く感じると評価されています」(出典: yamawalk.com、寝袋.net)
イージーアクセスポケットが右側にしかないという点だ。左利きの方や両側に欲しい方には不便に感じることがある。あと、ストラップが多くてごちゃついて見えるという意見もある。
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「水筒などを入れるイージーアクセスポケットが右側にしかないため、左利きの方や両側に欲しい方にとっては不便に感じることがあります」(出典: yamawalk.com)
機能を追求した結果だが、見た目がシンプルなのが好きな人には向かないかもしれない。そして、砂埃などの汚れが付着しやすく、落ちにくいという声もある。
[容量選び]30+5と40+5、どっちを買う?

サースフェーにするのは決めましたけど、30+5と40+5、どっちがいいんですか?
30+5モデル: 日帰り〜山小屋泊
サースフェー30+5は、基本容量30Lで、最大35Lまで拡張できる。日帰り登山から山小屋泊、富士登山などに最適だ。荷物を工夫すれば、夏場の軽量なテント泊にも対応できる。
そうだ。重量は約1,470g~1,500gで、比較的軽い。
40+5モデル: 山小屋泊〜テント泊
サースフェー40+5は、基本容量40Lで、最大45Lまで拡張できる。山小屋泊を伴う1泊2日の山行で最も真価を発揮する。軽量装備であればテント泊も可能だ。
そうだ。ただし、日帰り登山にも使えるが、やや大きめと感じる場合もある。重量は約1,560g~1,600gだ。
そうだ。だから、将来的に小屋泊やテント泊もしたいなら、40+5を選んでおくと潰しが効く。
| モデル |
容量 |
推奨用途 |
重量 |
| 30+5 |
30L (最大35L) |
日帰り登山〜山小屋泊 |
約1,470g~1,500g |
| 40+5 |
40L (最大45L) |
山小屋泊〜テント泊 |
約1,560g~1,600g |
[街でも使いたい]なら「クーラ (Kula)」

もし「山だけじゃなくて、通勤や通学でも使いたい」というなら、クーラがおすすめだ。
あ、これ可愛い!デザインがシンプルで、普通のリュックっぽい!
見た目はシンプルだが、中身はしっかり登山仕様だ。レインカバーも付いているし、背負い心地も良い。
機能とメリット
- デザイン: シンプルな見た目で、街中でもアウトドアでも使いやすい。
- 素材: 500D CORDURA®と420D VELOCITYの二重生地で、耐久性と軽量性のバランスが良い。
- 収納: PCスリーブやオーガナイザーポケットが充実していて、普段使いに便利。
リアリティとデメリット
これで山も行けるなら、こっちの方がお得じゃないですか?
日帰りハイキングなら十分だ。だが、ウエストベルトが簡易的だから、重い荷物を持つ本格的な登山には向かない。あくまで「街7:山3」くらいのバランスだと思ったほうがいい。
なるほど。本格的に山を始めるなら、やっぱりサースフェーですね。
[上級者向け]「プロライター (Prolighter)」はこんな人に

ちなみに、プロライターというモデルもある。これはクライミング、スキーツアー、長期縦走、雪山登山など、過酷な環境下での使用を想定して設計されている。
無駄を省いたアルパインシェイプで、軽量で引き裂きに強い3ラインハニカムナイロンや、摩擦に強いコドラナイロン100™Dなどを採用している。アックスホルダーやロープ固定など、専門的なギアを取り付けるためのアタッチメントが充実している。
そうだな。初心者がいきなり手を出すモデルではない。まずはサースフェーで経験を積んでから、必要に応じて検討すればいい。
[他社と比較]オスプレー、グレゴリーとの違いは?
ところで、オスプレーとかグレゴリーとか、他のブランドもよく聞きますけど、何が違うんですか?
オスプレー (Osprey)
オスプレーは、豊富なラインナップと用途特化が強みだ。日帰りハイキングから長期縦走、バックカントリー、女性用モデルなど、利用シーンを細かく分けて多くのモデルを展開している。通気性の良い背面システムや調整可能なバックパネルで快適なフィット感を実現している。
そうだ。エントリーモデルは1万円台から購入可能で、比較的手頃な価格帯も魅力だ。
グレゴリー (Gregory)
グレゴリーは「バックパック界のロールスロイス」とも称されるほど、フィット感と快適性に優れている。「バックパックは身にまとうものであって背負うものではない」というコンセプトのもと、人間工学に基づいて設計されている。
高品質な素材と堅牢なYKKジッパーなど、高品質なパーツを使用していて、耐久性が非常に高い。ただし、高い機能性と品質からやや高価な傾向がある。
サースフェーの位置づけ
サースフェーは、バランスの取れた快適性が強みだ。汎用性とバランスの取れた快適性を重視していて、日本の多湿な気候や日本人の体型に特化している。初心者から中級者まで、日帰り登山から山小屋泊まで幅広く対応できる。
なるほど。オスプレーは専門性、グレゴリーは究極のフィット感、サースフェーはバランスってことですね!
その通りだ。最終的には、実際に荷物を入れて背負ってみて、自分の体型や目的に最も合うものを選ぶことが重要だ。
[メンテナンス]長く使うための手入れ方法
Image Prompt: ミレー「サースフェー」を洗濯している様子。浴槽でぬるま湯に浸けて手洗いしている。
もちろんだ。適切なメンテナンスを行うことで、寿命は確実に延びる。
洗濯方法
30~40度のぬるま湯を浴槽などに張り、優しく手洗いする。洗濯時には必ずアウトドア専用洗剤か、漂白剤、柔軟剤、蛍光増白剤、香料などが入っていない中性洗剤を使用してくれ。通常の洗剤は、洗剤成分が残ると劣化の原因になる。
そうだ。取り外し可能な金属フレームやパッドは外して、洗剤成分が残らないように通常より多くの回数すすぐ。洗濯機での脱水や強く絞ることは避けてくれ。メンブレン(防水フィルム)の破損につながる恐れがある。
乾燥・保管
直射日光を避けた風通しの良い日陰で吊り干しする。スタッフバッグやビニール袋に入れたまま保管すると、水分が残りやすく生地にダメージを与える可能性があるから、ハンガーにかけて風通しが良く、直射日光の当たらない場所で保管しよう。
撥水機能の回復
乾燥後に撥水性の低下を感じた場合は、アウトドアウェア専用の撥水剤を使用する。熱を加えることで撥水効果が回復する場合もあるから、乾燥機で20分程度、または当て布をして低温でアイロンがけするといい。
道具を大切にすることも登山の一部だ。ミレー製品には、素材や製造上の欠陥に基づく不良に対して、購入から2年間の無料修理または同等品交換の保証もある。長く使える投資だと思えば、手間をかける価値はあるぞ。
[Q&A]よくある質問
Q1: 背面長の調整はできますか?
モデルによる。面ファスナーで背面長を43~53cm(ウィメンズモデルは38~48cm)の範囲で調整できるモデルもあるが、調整機能がないモデルもある。その場合は、S、M、Lなどのサイズ展開があるから、購入時に自身の体格に合ったサイズを選ぶことが重要だ。
Q2: 女性用モデルはありますか?
ある。特にSサイズは女性の体型を考慮したウィメンズモデルになっている。ショルダーハーネスやヒップベルトの形状が女性の体に合わせて設計されている。
Q3: 価格はどのくらいですか?
サースフェーNX 30+5は28,050円(税込、公式通販)、40+5は29,700円(税込)だ。一部オンラインストアでは26,600円~で販売されていることもある。決して安価ではないが、価格相応の価値がある。
登山用具は命を預ける道具だ。安物買いの銭失いにならないよう、最初からしっかりしたものを選ぶことをおすすめする。
Q4: ハイドレーションシステムには対応していますか?
対応している。ハイドレーション用のスリーブとホースの出口が備わっているモデルが多い。
Q5: どのくらい使えますか?
適切なメンテナンスを行えば、5年以上は余裕で使える。堅牢なコーデュラナイロンを採用しているから、長く使える耐久性がある。私の知り合いには、10年以上同じサースフェーを使っている人もいるぞ。
道具を大切にすれば、道具も応えてくれる。それが登山の醍醐味の一つだ。
まとめ・比較表
うーん、私はやっぱり本格的に山を始めたいから、サースフェー30+5かな!
賢明な判断だ。サースフェーなら、日帰りから小屋泊、頑張ればテント泊まで、君の成長に合わせて長く付き合えるぞ。
| シリーズ名 |
特徴 |
おすすめユーザー |
重量目安 |
価格目安 |
| サースフェー30+5 |
日本人のための万能モデル、日帰り〜山小屋泊 |
初心者、最初の一歩に迷っている人 |
約1,470g~1,500g |
28,050円 |
| サースフェー40+5 |
山小屋泊〜テント泊に対応、拡張性高い |
将来的にテント泊もしたい人 |
約1,560g~1,600g |
29,700円 |
| クーラ |
街と山をシームレスに繋ぐデザイン |
通勤・通学とハイキングを兼用したい人 |
普通 |
- |
| プロライター |
軽量・シンプル・アルパイン |
クライミング要素のある登山をする上級者 |
軽い |
- |
最後に。必ずお店で実際に背負ってみてくれ。荷物を入れた状態で試着して、ウエストベルトやショルダーハーネスの調整を店員さんに手伝ってもらうといい。
わかりました!とりあえずお店でサースフェー背負ってきます!「制服」着てきまーす!
ははは。君が山で楽しい時間を過ごせることを願っているぞ。